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 お父さんからも、私が知らなかったお母さんの話を聞く機会があって。スウェーデンではお葬式のあと、ケーキを食べてコーヒーを飲むんです。日本ではお寿司とビールだったりしますけど、あんな感じで。彼女のお葬式のあと、2人の出会いの話をしてくれて。

©三宅史郎/文藝春秋

父親から自分の知らない母親の一面を聞いて驚いたこと

――それは素敵ですね。

LiLiCo 初めてデートをしたときに、お父さんはお母さんのことをすごく素敵な人だと思ったそうで。「明日もデートしようね」と約束したら、次の日、顔がパンパンに腫れた状態でお母さんが現れて。どうやらバックパッカーでスウェーデンに行っていたから泊まる場所もなくて、公園のベンチで寝たらしいんだけれど、そうしたら顔の半分を蚊に刺されたらしくて(笑)。

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 お父さんは彼女のことを「お母さんは、酔っ払うとテーブルの上で踊っていたりしたんだよ」とも言っていました。もうまったく、私の知らないお母さんがそこにいて驚きましたよね。「私、なんか血を受け継いでる」と思ったりもしたし(笑)。

――今は、お母さんに対してどんな感情を持っているんでしょうか。

LiLiCo かつてあったヘイトみたいなものは、もうまったくないんです。お母さんが亡くなった時、悲しかったんですけど、あれだけ死にたいと言っていたから「お母さんは行きたいところに行けたの?」と聞いたんです。そうであればいいなと思って。

©三宅史郎/文藝春秋

――LiLiCoさんは、どうしてご家族との関係性を公表されたのですか。

LiLiCo 誰かの救いになればいいなと思って、勇気を出してテレビで「母親と仲良くなれない」と話してみたら「私もお母さんと仲良くできないんです」という人からの反響がすごくあって。最初はやっぱり「あなたを産んだお母さんをそんな言い方するなんて」と言われることも多かったんですけど。

 街で歩いていて声をかけられたり、トークショーの質問コーナーなんかでも「私もそうだったんです」という人が現れるようになって「言ってよかったな」と思いました。

――日本だと特に、家族の話ってしづらいですものね。