ジャニーズ事務所の創業者、ジャニー喜多川氏の性加害問題について取り上げた、英公共放送BBCのドキュメンタリー『Predator:The Secret Scandal of J-Pop(J-POPの捕食者 秘められたスキャンダル)』が放送されてから、まもなく3カ月が経つ。
NHKをはじめとするマスメディアも次々と報道を開始した(一部ほとんど触れていない局もあるが)。各テレビ局のトップも問題に関する見解を口にしはじめている。ジャニーズ事務所は再発防止策を発表した。
だが、ジャニー喜多川氏の性加害問題そのものについては、踏み込んだ追及は行われていない。藤島ジュリー景子社長が5月14日に事務所サイトで発表された動画と書面で謝罪を行っているものの、事実認定に関しては明言を避けている。第三者委員会も設置されていない。
非常にセンシティブな問題であり、被害者のプライバシーに配慮しなければいけないこと、問題の核心であるジャニー喜多川氏が死去していることなどから、事実認定は難しいというのがジャニーズ事務所側の言い分である。告発者は現れているが、問題の全貌解明には程遠い。
このままジャニー喜多川氏の性加害問題は幕引きとなるのだろうか。そのことを考えたとき、参考になる事例がある。英国の人気司会者、ジミー・サヴィルの性加害問題だ。
40年以上人気番組の司会を続け…「伝説の男」ジミー・サヴィルとは
ジャニー喜多川氏とジミー・サヴィルの問題には、いくつもの共通点がある。ひとつは長期間にわたって複数の未成年者に性加害を行っていたとされること。ひとつは芸能界、あるいは社会の中で巨大な権力を持っていたこと。もうひとつは問題が明るみに出たとき、すでに死去していたことである。
日本ではそれほど知名度が高いとは言えない人物だが、Netflixのドキュメンタリー『ジミー・サビル:人気司会者の別の顔』を見れば、彼がいかに英国で高い地位を獲得し、いかに非道な性加害事件を起こして、どのように悪事が追及されていったかがよくわかる。