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 そうこうするうちに2人の交際が週刊誌にスクープされる。郁恵さんは当時、押しも押されもせぬトップアイドルの1人。周囲には厳しい目を向ける向きもあった。そんななか、徹さんは記者会見で1人矢面に立った。

前向きな性格に救われてきた

「汗びっしょりになりながら、自分の感情を包み隠さず『要するにすべて好きなんですよ』と堂々と言ってくれました。何を隠すでもなく、ちゃんと正面から全部受け止めて自分の言葉で伝えてくれたのは、『大人だなあ』と思いましたし、心強かったですね。そこで私の心構えもできて、気持ちよく付いて行けたんだと思います」

 意外なことに2人の性格は正反対。いつも前向きな徹さんの性格に救われてきたと郁恵さんは告白する。

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2014年、インタビューに応える渡辺徹さん Ⓒ文藝春秋(撮影=三宅史郎)

「思い返せば、私は意外と一日一日のことについてすぐに振り返って、ああすればよかったと後悔するタイプでした。徹さんには付き合っている頃から

『なんで後悔ばかりするの?』と指摘されていました。

『これまでやってきたこと、そうなったことに対して“ありがとう”って思えばいいんじゃないの』って。

 最初は『なんて楽天的な人なの』と反発していたと思います。それがだんだんと、そういうものの考え方に慣れてきた時に、すっごく体が楽になったんです。そうやってこれまでずっと徹さんの考え方に支えられてきたんだなと思います。

 徹さんがいつも『お前はこれでいいんだよ』と言ってくれたから、自信を持って仕事を続けることもできました。いままた元の自分に戻ってしまっていますので、徹さんの言葉を思い出しながら、少しずつ、修正していけたらと思います」

1987年10月14日、結婚式を終えた渡辺徹・榊原郁恵夫妻 ©共同通信社

 記事ではほかにも、アイドル同士のデート苦労話、徹さんの大好物、喧嘩の後の和解の秘訣、すれ違ってしまった最後の時間など、芸能界きっての“おしどり夫婦”として知られた2人の笑いと涙の日々が明かされる。インタビュー全文は、2023年6月9日発売の月刊「文藝春秋」と「文藝春秋 電子版」(6月8日公開)に掲載される。