金賢姫告白 捜査官との「禁断の恋」

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 1987年11月29日、イラク・バグダッドから韓国・ソウルへ向かう大韓航空858便が、ミャンマー沖の海上で爆発、乗客・乗員115人全員が犠牲となった。この爆弾テロの実行犯は北朝鮮工作員の金勝一(キムスンイル、当時69)と金賢姫(キムヒョンヒ、当時25)。2人は、逃亡途中で犯行を疑われ、服毒自殺を図った。金勝一は死亡。金賢姫は一命を取り留めて韓国に送られ、犯行の目的はソウルオリンピックの妨害だったと自供した。
 

 その時の捜査官の一人と金賢姫は、のちに恋に落ち、苦難を乗り越え結婚した。まさに「禁断の恋」だった。今回、彼女は国家に翻弄され続けた愛と結婚生活について、初めて赤裸々に語った。
(聞き手 谷上栄一・ノンフィクション作家)

  じつは2年前の2月に、旦那さん(夫)を亡くしました。もともと、心臓に持病がありましたが、亡くなる前日、急に「食べ物が消化できない」「体の具合が悪い」と言い出したのです。一晩様子を見ましたが、翌朝、大動脈瘤破裂で帰らぬ人になりました。64歳でした。

取材に応じた金賢姫(左)と、聞き手の谷上栄一氏(谷上氏提供)

 私のことを誰よりも知り尽くしていて、私がひどいバッシングに遭った時には、旦那さんはいつも守ってくれました。突然の死にショックを受け、最初の1年間は何も手につかなかったのですが、ようやく最近、お話ができるようになりました。

 ――差し支えなければ、これまで匿名にしてきたご主人の名前を教えていただけますか。

  鄭炳久(チョンビョング)です。彼は私が国家安全企画部の地下室に連行され、取り調べを受けた時の捜査官の一人です。当時、彼は29歳で、韓国に潜伏する北朝鮮の工作員を摘発する担当をしていました。まだ若かったので、私が自殺を図らないよう24時間監視したり、先輩捜査官が尋問する様子を記録する係をしていました。

金賢姫 ©文藝春秋

 私は取り調べで、必死に中国人に成りすまそうとしました。一番心配していたのは寝言です。朝鮮語をしゃべってしまい、北朝鮮の工作員だとバレるんじゃないか、と。その様子も、旦那さんは監視していました。そうするうちに、旦那さんは誰よりも「北朝鮮工作員金賢姫」に詳しい人になっていきます。

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source : 文藝春秋 2023年7月号

genre : ライフ 国際 韓国・北朝鮮 ライフスタイル