日本を震撼させた平成の凶悪事件。事件後に流れた歳月は犯人・遺族の心境にどのような変化をもたらすのか。ノンフィクションライター、小野一光氏が現場を歩く。今回は「平成16年~17年 福岡3女性連続強盗殺人事件」篇の第3回(全4回。第1回、第2回から読む)。
三つの事件が繋がった――。
2004年12月から05年1月にかけて、福岡県内で3人の女性が強姦や強盗目的で殺害された「福岡3女性殺人事件」は、05年3月8日に直方市に住む鈴木泰徳(逮捕時35。19年に死刑執行)が、占有離脱物横領容疑で逮捕されたことによって急展開した。
鈴木が所持していたのは、05年1月18日に福岡市で通勤途中に殺害された、航空関連会社勤務の福島啓子さん(当時23)の携帯電話。鈴木は彼女から奪った電話を使って、アダルトサイトへの接続を繰り返していたのだ。
私はこの福島啓子さんが被害に遭った事件と、その約1カ月前の04年12月13日に飯塚市で遺体が発見され、専門学校生の久保田奈々さん(当時18)が殺害された事件を、発生時に取材していた。
二つの事件が起きた間隔は約1カ月と短かったが、犯行現場が飯塚市と福岡市という異なる地域だったため、両者を結びつけて考えることはなかった。
そのため、鈴木の逮捕を知らせてくれた、旧知の福岡県警担当記者からの電話のなかで、「その男(鈴木)は福岡の事件だけでなく、飯塚の事件と、あともう一つ、北九州で昨年(04年)末に起きた事件にも関与しているようなんです」との言葉を聞いたときは、携帯電話を持ったまま「ええっ!」と声を上げるほどに驚いた。
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