古希を迎えなおゴルフにしがみつく男の胸中
もはや戦える体ではなかった。
4月第3週、男子プロゴルフツアーの開幕戦「東建ホームメイトカップ」に参戦した「ジャンボ尾崎」こと尾崎将司は、初日(13日)は5オーバー、2日目(14日)は11オーバー。通算16オーバーで、132人中最下位で予選落ちした。
尾崎は、プレー以前に、歩くことさえままならなかった。腰がやや折れ曲がり、ときおりクラブを杖代わりにする。歩くスピードが遅いため、先に先に歩き出さなければ、すぐに他のプレイヤーから遅れを取ってしまう。ホールごと、ティーグラウンド内にある距離表示ボードや、ドリンクと氷水が入ったタブに腰掛けずにはいられない。グリーン周りなど、座る場所がないときは、専属キャディーが、クラブと一緒に持ち歩いているポータブルチェアをすっと差し出す。
「10年ちょっと前かな、脊柱管狭窄症になって、ひどい時は、100メートル、200メートル歩いたら、そこでうずくまらなくちゃならない状態になった。それが長引いて。手術も2回した。でも、そこから普通の状態でプレーできなくなって」
とはいえ、平日にもかかわらず、多いとき尾崎には70、80人のギャラリーがついて回った。ラウンド後、囲む記者の数もいちばん多かった。それだけ人気がある証拠でもあるのだが、加えて開幕前、1月24日に70歳を迎え、「今年結果が出なかったら、クラブを置く」と語ったことが、注目に拍車をかけていた。
尾崎が最後に優勝したのは2002年の全日空オープン、15年前まで遡る。ここ3年は一度も予選を通過していない。昨年は12試合に出場し、うち9試合を途中棄権した。
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source : 文藝春秋 2017年06月号