三宅唱さんに帯同したソウル出張で、映画館がいかに大事かを痛感した

vol.151

電子版ORIGINAL

エンタメ 韓国・北朝鮮 映画

「文藝春秋」の編集者が明かす、電子版限定の“ここだけの話”

 3月号の巻頭グラビア「日本の顔」に、映画監督の三宅唱さんにご登場いただきました。取材時は最新作『旅と日々』の韓国での公開が近く、ソウル独立映画祭でトークを行う予定だと教えてもらいました。『旅と日々』の主演はソウル出身のシム・ウンギョンさんということもあり、韓国と縁が深い作品です。そこで25年12月、私もソウルに同行しました。

 現地での取材の際、印象的だった一コマがあります。朝、ソウルの街角で撮影を終えたあと、三宅さんの「タクシーじゃなくて、ホテルまで歩こうよ」という一言で、カメラマンを含めた3人で、コーヒー片手に雑談しながら歩き出しました。その途中のことです。横断歩道を渡っていると、すれ違いざまに「……!?!?」と、声にならない声が聞こえました。見ると、若い女性が三宅さんを見て、口を押さえている。おそらく三宅さんのファンなのでしょう。三宅さんは嬉しそうにひらひらと手を振り、私たちはそのまま歩みを進めました。

「日本の顔」撮影中の三宅さん ©文藝春秋

ポン・ジュノ以降がいない?

 ソウルでの三宅さんは対談や取材で忙殺されていました。会場から会場へと移動する車内では、映画業界の構造的問題から中国を訪れたときのエピソードまで、さまざまな話を伺いました。その一部はインタビュー記事にも盛り込んでいます。

 一方で、記事に書ききれなかった話題の一つに、「韓国映画界の苦境」があります。韓国では今、映画館がものすごい勢いで閉鎖されているというのです。『パラサイト』の世界的成功によって、韓国の映画産業は勢いに乗っているのかと思いきや、現実は正反対のようです。

 転機はコロナ禍でした。ハリウッド映画が映画館での公開終了を待たずに、すぐにオンラインでも配信されるようになり、配信視聴が定着してしまったのです。結果、映画館に人が戻らなくなりました。また、コロナ禍以前からの話ではあるのですが、韓国国内にミニシアターがほとんど残っていない。大手メジャー作品以外を上映する場がなく、若手監督の自作を公開する場所も失われているのです。「ポン・ジュノ以降の才能が出てきていないよね」と、三宅さんは語っていました。

 韓国では三宅さんは、「作家性と商業性を両立している」稀有な監督として受け止められています。作家性の強い作風にも関わらず、コンスタントに作品を発表できているからです。ソウル独立映画祭のトークに招かれたのも、そのバランスの秘訣を知りたい人が多いからではないか。三宅さん自身、そう考えているようでした。記者からは、「なぜ日本の映画界は才能が出続けているのか?」という質問も飛び出しました。

有料会員になると、この記事の続きをお読みいただけます。

記事もオンライン番組もすべて見放題
初月300円で今すぐ新規登録!

初回登録は初月300円

月額プラン

初回登録は初月300円・1ヶ月更新

1,200円/月

初回登録は初月300円
※2カ月目以降は通常価格で自動更新となります。

年額プラン

10,800円一括払い・1年更新

900円/月

1年分一括のお支払いとなります。
※トートバッグ付き

電子版+雑誌プラン

18,000円一括払い・1年更新

1,500円/月

※1年分一括のお支払いとなります
※トートバッグ付き

有料会員になると…

日本を代表する各界の著名人がホンネを語る
創刊100年の雑誌「文藝春秋」の全記事が読み放題!

  • 最新記事が発売前に読める
  • 編集長による記事解説ニュースレターを配信
  • 過去10年7,000本以上の記事アーカイブが読み放題
  • 塩野七生・藤原正彦…「名物連載」も一気に読める
  • 電子版オリジナル記事が読める
有料会員についてもっと詳しく見る

source : 文藝春秋 電子版オリジナル

genre : エンタメ 韓国・北朝鮮 映画