年忘れ映画ベスト10〈頭抜けた大傑作にやられた〉

芝山 幹郎 評論家・翻訳家
森 直人 映画評論家

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エンタメ 映画

傑出した個人がアメリカ映画を更新した

 森 芝山幹郎さんとその年の映画ベスト10を選ぶ対談もついに3回目。1年あっという間でしたね。

 芝山 本当に。今年はなんといってもポール・トーマス・アンダーソン監督の『ワン・バトル・アフター・アナザー』が頭抜けていました。

 森 大傑作でしたね。完全にやられました。

 芝山 桁外れにパワフルで、アクションと笑いと怒りとデリカシーに溢れている。愛と自由なんて、普段なら照れくさくなる言葉も、思わず口にしたくなる。一言でいうなら「インスタント・クラシック」。いますぐ古典に認定されてもおかしくない映画で、魅力を語りはじめると夜が明けてしまう(笑)。

 で、『ワン・バトル~』は、後でたっぷり語ることにして、まずはふたりともトップ10に挙げた作品から話していきましょうか。『ワン・バトル~』以外だと、『サブスタンス』、『ザ・ルーム・ネクスト・ドア』、『リアル・ペイン~心の旅~』、『ANORA アノーラ』になります。

 森 芝山さんの第2位、コラリー・ファルジャ監督の『サブスタンス』から行きましょう。

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source : 文藝春秋 2026年1月号

genre : エンタメ 映画