日本銀行が12月19日、追加利上げを決定した。政策金利は0.75%と30年ぶりの高水準である。にもかかわらず円安はいっそう進行し、「利上げ・日米金利差縮小なら円高」との定説に反する状況となっている。実のところ市場ではしばらく前から、「金利差縮小でも円安」現象が観測されてきた。いったい世界のマーケットは、円と日本をどう見ているのか。
これに答えたのが、イギリス・ロンドンのヘッジファンド、「キャプラ・インベストメント・マネジメント」の共同創業者、浅井将雄氏である。運用総額300億ドル(約5兆円)と世界最大級の債券系ヘッジファンドを営む浅井氏は、伝説的投資家のジョージ・ソロス氏にちなんで、「和製ソロス」とも呼ばれている。世界の金融センターから見た高市政権への評価を聞いた。(取材・構成:杉本りうこ)

日本のGDPは2026年にインドに抜かれる
――利上げなら円高。このセオリー通りにマーケットが反応しない状況が出現しています。いったい何が起こっているのでしょうか。
確かに円相場の動きは、金利の動向から距離感が出始めています。日本の円安はもはや、金利要因だけで説明できるものではなくなっているのです。では、ここから先は何に円が左右されるのか。中期的に俯瞰した目線で言えば、それは「国力」です。日本の国力が低下すればするほど、円安が進むでしょう。
この場合の国力の指標とは、ドルベースでの名目GDPの順位です。国際通貨基金(IMF)の最新の推計によると、日本の名目GDPは2026年にインドに抜かれます。2023年にドイツに抜かれて4位に転落してからあっという間でした。この先、5位からさらに大きく順位を下げるようになると、世界市場における日本の存在感は急速に薄れ、円安が大きく進行する可能性があると私は見ています。
今の6位は私が住んでいるイギリスですが、イギリスには何としても抜かれて欲しくないですね。人口が日本の半分しかない国なのですから。人口の多さ、技術力の高さ、産業の裾野の広さといった点で、日本は本来まだまだ地力のある国です。しかし少子高齢化や構造改革の停滞、低い経済成長、そして財政悪化といった要素が温存されたままでは、今後も円安のマグマが大きくなる一方です。
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