春の統一地方選で大躍進を遂げた日本維新の会。代表を務めた松井一郎氏は今年4月に政界を引退した。松井氏は、かねてから安倍晋三氏や菅義偉氏など、時の総理たちと太いパイプを築いていたことで知られる。今回、政治外交ジャーナリスト・岩田明子氏の取材に対して、どのような交流があったのかを明かした。
「もう一度、総理をやってください」と打診
〈安倍さんとも第一次政権を退陣された頃から、橋下さんと一緒に定期的にお会いさせていただきました。「維新の会に合流か?」なんて報道されたのもよう覚えています。
(中略)
たしか2012年の2月だったか、大阪の教育シンポジウムにいらっしゃってね。その夜に酒を酌み交わしながら、初めて僕が安倍さんに「もう一度、総理をやってください」とお願いしたんです。自民党を離党して、維新の会の代表に就いたうえで、総理に返り咲いてほしかった。突然、そんなことを言われて、安倍さんも驚かれたんじゃないですかね。
僕たちも大阪のローカルパーティから始まり、いずれ政権を狙うにしても、国政経験のない人間ばっかり集まっていましたから。仮に第一党になれば、民主党政権や細川護熙政権の時と同じ過ちを繰り返すに決まっています。だから、安倍さんのように総理も務めた政治経験豊富な人に来てほしかった〉
だが、安倍氏の返答は「いや、それは無理だよ」だったという。
〈後に菅さんから聞いた話では、「あくまでも自民党を出ないのが、安倍さんの堅い信念だ」と。それが理由とのことでした〉
第2次安倍政権発足後も、毎年クリスマスイブには、松井氏、橋下徹氏、安倍氏、菅氏の4人で集まるのが恒例行事になっていたという。