監督に「何の生産性もない」と言われて
――シーズン直前の宮崎合宿では、対大宮アルディージャとの練習試合で60分、同じく対今治FC戦で70分出場しました。コンディションはいい感じであがっているのでしょうか。
「少しずつ出場時間を伸ばしていく中で、身体も気持ちも自信がついてきている部分はある。ただ、練習試合で70分できたからといって、本番でも本当に同じようにできるのかは、出てみないとわからない。ブラジル人のフィジカルコーチ(ワグネル)がすごくよくて、すべての練習がサッカーに結びついているという実感があるし、リズムがいい。質の高い練習ができている。そういう部分では、コンディションはあがってる。でも、それが自分にとって、試合に結びつくかはまた別の話で」
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カズが所属するJ2の横浜FCは、昨年、J1昇格争いに加わりながらも、最後は失速。10位に甘んじた。シーズン途中の10月からはブラジル人監督タヴァレスが就任。今シーズンも同氏が指揮をとることになった。
――監督はどうカズを評価しているのでしょう。
「大宮戦が終わって、監督に言われたのは、『お前はコンディションがいい。去年、俺が来てから見ていた秋頃のコンディションと比べてもいまのほうが全然いい。走れる。でも、何の生産性もない』と」
――「何の生産性もない」というのは……。
「それは『一生懸命走って、いろんなところに顔を出して、ボールに触ろうとするけど、何の生産性もない。お前のポジションでゴールやアシストとかがなかったら、使えない』ということ。次の今治戦のあとには、『大宮戦より全然よかった。俺の言ったことをよくわかってくれた』って言われたけど……。でもそうやって、はっきりと言ってくれるのはありがたいよね。この歳になると、監督からあまりそういうことを言われないので」
――開幕まであとわずかですが、51歳となる今シーズンをどんな気持ちで迎え、挑んでいきますか?
「まずは出場することだよね。実際、システムの中に誰と誰をはめていく、という話を監督としても、俺の名前は一切出てこないから(笑)。たぶん、いまはまだ4番手とか5番手の位置づけだと思う。でも、それは仕方ないよね。これまでの練習試合の結果だけみても、シュートはゼロだし。完全に自分の力不足ですよ。
練習をずっとやってきて、監督もコンディションに関しては評価してくれている。あとは、質の部分を高めてくれということだよね。結局、必要とされているのは質と戦術的なこと。『システムのことなんか気にしないで、お前は与えられたところで100%の力を出してくれればいい。キャラクターはひとりひとり違う。お前の持ち味を出せ。その場で全力を尽くせ』と監督は言う。わかりやすいでしょ? だから、思い切ってできる。吹っ切れてできる」