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「おことば」で天皇は大衆の支持を勝ち取った

 平成に入り、皇室のあり方は「開かれた皇室」と呼ばれて人々の支持を集めていた。一方、そうしたあり方に対して「宝島30」や「週刊文春」などが「美智子皇后バッシング」を展開した時期もあった。マスメディアの影響を受けた大衆の意思は、肯定的であれ否定的であれ、皇室と強い関係性を有していたと言えるし、現天皇・皇后は若いときからそうした環境のなかで生き、象徴天皇のあり方を模索してきた。

おことばを述べられる天皇陛下 宮内庁提供

 その天皇が、マスメディアを通じて自らの意思を人々に訴えかけたのが、2016年8月の「おことば」である。7月13日19時のNHKによる第一報(天皇陛下「生前退位」の意向示される 内外にお気持ち表明検討 宮内庁関係者)以降、マスメディアは退位に関する報道を積極的に行い、辞めさせてあげてもよいのではないかという世論が次第に形成されていく。そして、8月の天皇の「おことば」はダメ押しになった。戦後の天皇は自身の意思を発しない建前になっているが、明仁天皇は個人的な意見と留保を付けつつ、「平成流」への強い自負を表明し、退位の意向を示した。これによって世論はより退位を後押しし、政府もそれを迅速に進めるために動き、特例法制定へと舵を切った。

皇室とマスメディアの関係はいわば「諸刃の剣」

 2016年8月の「おことば」で、天皇は大衆の支持を勝ち取った。しかし皇室とマスメディアの関係はいわば「諸刃の剣」である。今回の眞子内親王と小室さんの婚約では、強い向かい風が吹いてしまった。

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婚約スクープから一夜明けて、記者会見に応じた小室さん ©JMPA

 NHKによる婚約スクープ直後の報道では「海の王子」やICUでの出会いを歓迎する流れもありつつ、「眞子さま婚約者の語られぬ家族の身上書」(「女性セブン」2017年8月17日号)など、昨年夏ごろから最近にかけては前述のような週刊誌報道が多くなっていた。これを一つのきっかけとして、インターネット上でも次第に婚約に対する批判的な意見が増えていく。そして結婚延期が発表される。ニュースを目の当たりにして、「親が金銭トラブル抱えて訴えられるかもしれない、本人も先行き不透明な感じとか、一般社会でも二の足踏むレベルだと思うけど」とツイートする人もいた。