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実際、農業ってビジネスになるんですか…?

 実際、農業をビジネスとして成り立たせるには、一定以上の規模の生産量が不可欠だ。農業が盛んな地域では、JAなどを通じた販路も確保されている。そうした条件を満たさない尼崎では、苦労して技術を体得して生産にこぎ着けたところで、それを売る道筋がない、というわけだ。そこで、同社は生産の前に販路を作ることに切り替えた。

「出口戦略ではないですが、まずは販売の方をやっていこうと。特に我々はJR西日本グループですから、それを活用しない手はない。駅構内などに場所を借り、近郊で採れた新鮮な野菜を売る、ということですね。

 もちろん、駅には他にも商業施設が入っていたり、近くにはスーパーもあるので言うほど簡単ではありませんでした。また、仕入れのルートを確保するのにも苦労しました。ただ、JR西日本は地域共生という理念を掲げているので、それもあって最近はかなり理解してもらえるようになってきましたね」(梶原さん)

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 実際に2021年から“駅の八百屋さん”として駅構内、改札口の脇などの遊休スペースを利用して地元の野菜販売をスタートした。現在では、あいウィル本社最寄りの尼崎駅をはじめ、甲子園口駅やさくら夙川駅ではほぼ定期的に“八百屋さん”を開設。ほかにも期間限定で三ノ宮駅、大正駅、天王寺駅、新大阪駅などで八百屋さんを開いた実績がある。

 

 実績を積み重ねたおかげもあって、駅からの理解も深まってきた。甲子園口駅やさくら夙川駅では、駅そのものの利用者数は尼崎駅の半分ほどにも関わらず、八百屋さんの売り上げは尼崎駅とほぼ変わらないほど地元の人に愛されるようになっているという。

「駅をご利用のお客さまだけではなく、近くにお住まいの方がわざわざ買いに来てくださるんですよね。あと、たとえば大正駅では近くに飲食店が多いので、お店の方たちが買いに来て『ずっと出してくれるんだったらまとめて注文するんだけどねえ』などと言っていただけました」(梶原さん)