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たちはだかる2つの大きな課題

 とはいえ、まだまだ課題も多い。そのひとつが、物流だ。いくら都市近郊で生産されているとはいえ、すぐ隣に畑があるわけではない。クルマで1時間から1時間半ほどかけなければ、収穫された野菜を販売場所である駅に運ぶことができないのだ。

 三田市内の生産者からは、「近くの駅までは運ぶからあとは電車で運べば」と言われたという。電車に野菜を載せて運ぶ貨客混載も検討しているが、社内外のルールもあって簡単には進まない。

 さらに、何より大きな課題が、収益性だ。JR西日本あいウィルの勝田素乃子代表取締役は言う。

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勝田代表取締役

「いまのところ、まだまだ収益性という点では不充分なんです。そもそも野菜は薄利多売。100円で仕入れて110円、120円で売るような商売ですから。

 ですが、地域で採れた野菜を地域の駅で売ることは、自分の住んでいる地域の野菜を知ってもらうことになり、地域共生につなげることもできる。もちろん事業として手がけている以上は、将来的には収益性も求めていかなければいけません。ただ、まずはその第一歩ということで、農業と福祉の連携、そして地域との関わりを作っていくことができればと思っています」

 先だって、1周年のイベントが行われたコミュニティファームも、そうした狙いで手がけたものだ。野菜販売がある程度落ち着いてから、生産に進出しようと考えていたところ、尼崎市内の生産緑地を紹介されたのがきっかけ。

 生産緑地は何らかの農産物を生産することで固定資産税が優遇される土地のこと。紹介された緑地は地主さんが高齢で、自分で生産を続けることが難しかった。そこで、JR西日本あいウィルが土地を借り受けることになったという。

 

「もちろん生産で収益を上げるのは難しい。なので、地域の人たちが集えるようなコミュニティファームにしようということでスタートしました。実際に畑に来てくれる人は、近くにお住まいの方だったり、地域の小学校の子どもたちだったり。学校の食育授業の一環で、自分たちで収穫した野菜を自分たちで食べるというようなことにも活かしてもらっています」(梶原さん)