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泥だらけでも制服姿で…
日常的な畑の手入れは、コミュニティファームの代表も務めているその道のプロ・内田大造さんに任せているというが、時間があればあいウィルの社員たちも盛んに足を運ぶとか。隣のマンションの住民から、「採れた野菜、ちょうだいよ」と声をかけられたこともあるという。
「で、最近は駅の人たちや乗務員さんも協力的でして。子どもたちの収穫体験をするときに、駅や乗務員さんに声をかけたら、『じゃあ制服を着ていくわ』って言ってくれました。農作業だから泥だらけになりますよ、と話したら、『制服を着てなかったら誰かわからんやろ』って(笑)。鉄道の現場で働く人たちも、こういうイベントを通じて地域の人たちと触れあうことは、仕事の上で大きなモチベーションになっているようですね」(梶原さん)
尼崎のコミュニティファームははじまってからまだ1年。駅の八百屋さんも今年が3年目だ。それに、すぐに収益に結びつくかというとそうでもない。ただ、取材帰りに尼崎駅に行くと、改札の脇の“八百屋さん”はなかなかの盛況ぶりだった。
電車が着いて仕事帰りの人たちがどっと改札を抜けると、その足で野菜を見繕って買ってゆく。地域共生も近郊農業の再生も、伝統の「あまやさい」の保護も、簡単ではない。が、もしかしたらこうした駅の八百屋さんやコミュニティファームのような、地道な取り組みが道を切り開くのかもしれない。
写真=鼠入昌史
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