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田上 つまんなくなりたかった~。下手にちょこちょこがんばって、500キロバトルとか取れちゃったからダメだったんでしょうね。それで多少小銭は稼げたから良かったですけど。

「今は女芸人にとって良い時代」

――田上さんが『オンバト』に出ていた頃に比べると、今は女性芸人の数も増えていて、社会的にも認められている感じがありますよね。

田上 今は女芸人を敵視する人はいないんじゃないですか。昔は舞台に立ってると男芸人のファンから「こいつは私の推しの男芸人を取るんじゃないか」っていう目で見られたりしましたよ。そういう人は笑いに対しても厳しくて、女芸人では笑わない、っていうのもありました。ただ、私はネタがそんなに女っぽくなかったので、まだ受け入れていただいていたほうだとは思います。

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©三宅史郎/文藝春秋

――女性芸人にとっては良い時代になったと思いますか?

田上 良い時代じゃないですか。芸人なのに、芸を見たことないなっていう人もいません? こいつら、いつもVTR見てコメントしてるだけだな、みたいな。そういう芸人も増えてきて、いろんな仕事で飯が食えるようになったから、良い時代になったなと思いますよね。

「無駄な時間なんて1秒もねえな」

――芸人引退宣言の話についてうかがいたいんですが、事務所の方にはそういうお話をされたんですか?

田上 特にしてないですね。マネージャーにLINEで「これからはお芝居のお仕事をしていきたいです」って送っただけで。もともと芸人としてもそんなに動いてなかったんでね。事務所的にはどっちでも良いんじゃないですか。

――芸人を辞めることにしたのは、お笑いへのモチベーションが下がってきたからですか?

田上 そうですね、時代が変わってシニカルな笑いが通用しなくなってきた、というのも感じつつ。あと、10年前ぐらいに親が亡くなったんですね。そこで死というものを間近に体感して、自分は健康で何でもできる状態なのに、ぼーっと生きてるのはもったいないな、無駄な時間なんて1秒もねえな、って。もっとやりたいことをどんどんやっていかないとまずいぞ、すぐ死ぬぞ、と思ったんですよね。

 もともとお笑いよりもお芝居とかのほうに興味があるんですよね。だから、そっちをまた一から勉強したいなと思って。あと、ものを作るのが昔から好きで、ハンドメイドもやってまして、それを並行でやりたいなと思ったんですよね。

――芸人に未練はないですか?