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田上 何にもないですね。これ以上は無理でしょっていうぐらいがんばったんで、何の未練もございません、って感じで。

――芸人を辞めるときにそこまで割り切っている方も珍しい気がします。

田上 未練があるのは、もともと芸人を目指してた人じゃないですか。私はずっとなんかよくわかんないけどネタやらされてるな、という状況だったので。よくよく考えたらお笑いにそこまで興味ねえな、ってやっと気付いた感じなんで。ああ、楽しかった、という思い出しかないです。

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――すごく前向きな芸人引退ですよね。

©三宅史郎/文藝春秋

田上 いま超楽しいですからね。お芝居もやりたいなというのもありつつ、普段は家でずっとハンドメイドをチクチクやってるんで。ものを作るのが好きだったので、芸人じゃなくて芸術家だったんですね。

――芸人を辞めるというよりは、ほかのやりたいことにもっと力を注いでいくっていう感じなんですね。

田上 もう終活の域ですからね。ここから先は短いですよ。私は短命の家系だし、健康寿命でいったらたぶんあと10年か20年でしょ。あっという間ですよ。

――でも、見る限りでは田上さんはお元気そうですね。

田上 そうですね、そこは親に感謝ですね。何の病気もしたことないです。コロナも1回もかかってないですから。すごいでしょ? ただ、普段ずっと家にいて、全然しゃべんないから。そりゃかからないだろっていう。

50歳からの原点回帰

――俳優のお仕事は今までにも経験があるんですか?

田上 ちょこちょこドラマとかに出させていただいて、一言二言みたいなのはありましたけど、あんまりちゃんとしてなかったんですよね。芸人をやっていると、口調とかも無意識のうちに面白がらせる口調になっちゃうんです。それを抜きたいというのもあって、まずは芸人であるということを省かないと、と思って。

 もっと普通の役がやりたいんです。刑事ドラマで「お隣さんなら引っ越しましたけど」って言う役で出たいです。また出てきた、って言われてツイッターでバズりたい。主役とかじゃなくて、名バイプレーヤーみたいな感じになれたらいいですね。

――アンジャッシュの児嶋さんやドランクドラゴンの塚地さんなど、同じ事務所でそういう仕事をしている方も多いですよね。

田上 そうなんですよ。さっき朝ドラの『らんまん』(NHK)を見てたら、同期の今野(浩喜)が出てきやがって。くそ、また出てきた、って。みんなコントをやっていたからお芝居が上手いんですよね。見習わないと。

――田上さんはもともと俳優志望だったわけですから、むしろ原点に戻ったような感じなんですかね?

田上 そうなんですよ。だから、一からってことはまたテアトルアカデミーに行かないといけないんですかね。50歳からでも入れてくれるのかな?(笑)

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。