2022年7月8日、安倍晋三元首相が凶弾に倒れた。その背景にあったのが、家族が困窮するほど信者に多額の献金を要求し続けたとされる旧統一教会だ。献金をめぐるトラブルはたびたび報じられてきたが、家族が統一教会の信者で教会に強い恨みを持っていたという容疑者が元首相を選挙演説中に銃撃するという前代未聞の事件が起きたことで、これまで以上にスポットが当たることになった。
その中心として様々な発信をしてきた小川さゆりさんが3月、書籍『小川さゆり、宗教2世』を上肢した。彼女も両親が統一教会にのめり込んだことがきっかけで、幼少期は金銭的にも苦悩した元信者の一人。まずは子どもの頃の貧困について、そして今両親に思うことについて伺った。(全2回の1回目/後編を読む ※取材は今年4月に実施)
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「統一教会は解散すべき」
――小川さんが最初の発信をしてから、様々な議論が起き、“宗教2世への虐待”について記されたガイドラインが策定されるなど世の中が動きました。
小川さゆり(以下、小川) 去年の12月27日にガイドラインができたのは一定の成果だと思います。ただ、3月末にも記者会見をさせていただいたんですが、“宗教2世への虐待”という部分はしっかり法律に明記してほしいということは引き続き訴えていかなければならないと思っています。やはりガイドラインだと被害が起こった後の対応になってくるんですよね。受け皿には限りがありますし、受け皿ではなく、行為が起こっていること自体を止めないといけない。国でしっかり啓発、勧告ができ、国民も認知していくには、法制化が必要です。
そして究極的には、カルト的な行為が起こることを防ぐ意味で、カルト規制法、反セクト法のようなものを議論してほしいと思います。
――国や法律が宗教そのものを規制することはできませんが、その上で小川さんが統一教会に求めるものはどのようなことでしょうか?
小川 統一教会はまず解散をするべきだと思います。ただ、宗教団体として消滅してほしいとは思いません。それは、いろんな人の生きてきた居場所でもあるし、存在そのものに手を出すことはできないからです。
今言った解散というのは宗教法人法に基づく解散のことで、団体自体を解散させろというものではなく、法人格を剥奪することと、税制上の優遇措置をなくすことが目的です。それは、信者の財産的な被害を明確にするために、お金の動きをきちんと明確にすることが必要だからです。団体そのものをなくそうとするものではありません。
――これまでのメディアでの取り上げられ方も、霊感商法だったり、献金だったりといった財産に関することが多かったと思いますが、小川さんご自身の中でも一番メスを入れるべき部分が財産に関する部分というわけですね。