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小川 清平でいろいろあって帰国した私は働くこともできず、家で臥せっていました。それまではずっとバイト代を親に渡してましたし、経済的な事情で大学進学も諦めたりしてきたなかで、精神的にも肉体的にも辛くて寝ているしかできないような状態だった私のことを裏で「あの子家にお金も入れないし、いつになったら働くんだろう」と言っていたんです。それは本当にショックでした。

 私が脱会に至るまでにはいくつもの出来事や理由がありますが、このときの母親の言葉が一番大きかった。私が入院をし、働けなくなっても、親は私をお金のあてにしか見ていない一方で、本人たちは外ではいい顔を演じながら普通に教会に通い、献金は惜しまず繰り返す。このことも2世をやめたいと考えるようになったきっかけの一つです。

©石川啓次/文藝春秋

――今も、小川さんの告発を全否定し、すべて小川さんの虚言と捏造だというスタンスをご両親は取られています。

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小川 両親は一度は、私に謝ってきているんですよね。「本当に申し訳なかった」って。でもその後、私の告発について「そんなことを言った記憶はない」と言い出しました。多分、親は私が発信を始めたことについて、どうしようかと焦っていたんだと思います。もしかすると、教団からも翻意するよう促されたのかもしれません。

 カルト宗教にハマる人って、自分に都合のいい情報はすぐ信じてしまうんですよ。自分が助かる、楽になれるなら別に嘘でもいい。都合のいい情報にすがりたい。だから「娘がこんなふうになっちゃった」と思うことで、両親も救われているのでは。 

「両親も被害者だと思います」

――ご両親にも被害者的な面もある?

小川 被害者だと思います。でも、ひどいことを言われ続けてきたのは事実だし、今は間接的にですが裁判にもなっている。子どもの頃から、相談したのも含めいろんなことがあったし、受け止めてくれていた部分もあったのに、今はそれを全部否定して「そんな話聞いたことがない。あの子の自意識過剰と嘘だ」と言ってきている。被害者ということで済まされることではないと思います。

 ただ、両親を含め年齢を重ねた人が、これまでを後悔しながら新しい道を進むのと、今のままでいるのはどちらが幸せなのか。これまでの信仰を捨ててすべて再構築していくのには限界があります。その人たちを一人ひとり助けていたらきりがないし私の人生が終わってしまう。だったら、団体をしっかり規制して、これ以上被害者を生まない構造をつくることを国に対して求めたいですね。

 それが、あの頃の自分を救いたかった私が今できることだと思っています。(続きを読む

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