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 仕事を失うかもしれない30万人のセックスワーカーたち

 単身赴任や長期の海外出張など遠隔にいる者同士は、物理的にセックスするのは不可能だ。そのような場合に、相手を模したヒューマノイドや五感を完璧に刺激し、再現するVRテクノロジーなどを駆使したサイバーセックスが検討されているという。そうなると、一家に一台というような感じで導入されるかもしれない。

 ほかにも性風俗店では、ヒューマノイドがどれだけ顧客向けにカスタマイズしたサービスを提供できるか、などがビジネスの鍵となりそうだ。

 一方で、もしそうなった場合は、性風俗で働く人口も大きく減少することだろう。『夜の経済学』(扶桑社)の著者である経済学者の飯田泰之氏によると、風俗嬢と呼ばれる職業の労働人口は日本に30万人いると推定されている。これは、那覇市や四日市市と同じ人口であるといい、風俗嬢のボリュームゾーンである20代に限定すると、20人に1人が風俗嬢であるという試算になるのだ。

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 性風俗が産業としてなくなると、これだけ多くの人が職を失うことになる。「セックスワーカー」や風俗嬢の安全や健康面を考えて、女性として別の道へと自立を図る運動も世の中にはある。一方で、性風俗産業で働く人たちにとって、それほど容易に別の職に就くことができるのか、という視点に立てば、メリットだけではない印象がある。

空想が実現する時代のビジネス地図

齊田興哉

サンマーク出版

2023年6月23日 発売