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セックステックが性犯罪の減少に一役買う

 このようなセックステックがなぜ私たちには必要なのだろうか。そもそもこのテクノロジーが満たすのは人間の3大欲求の一つ、性欲だ。日本のコンドームメーカー・ジェクスは、一般社団法人日本家族計画協会家族計画研究センター所長の北村邦夫氏に依頼し「【ジェクス】ジャパン・セックスサーベイ2020」を実施した。この調査では、多くの女性は「セックスの目的は愛情を表現するため」と回答している。

 こんなデータもある。男性の8割近く、女性の4割が「セックスしたい」と願っているというのだ。

©AFLO

 性欲は時に快楽のために発散される。それを物語るデータが存在する。日本人男性の性風俗を利用したことがある人の割合だ。2008年のデータで少し古いが、国立女性教育会館がお金を払って性的サービスを受けた経験のある男性を調査したところ、41.8%もの人が「一度でもある」と回答しているという。ちなみに、現在源泉データにアクセスできないようだ。

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 ほかにも、令和4年版犯罪白書によると、1年間で認知されている性犯罪の件数は、強制わいせつが4283件、公然わいせつが2431件と多い。おそらく明るみに出ず、被害者が泣き寝入りしてしまっている数も相当数あるのではないだろうかと推測される。

 性犯罪者に単純にセックステックを与えれば、根本的な解決になるとは少しも考えていない。ただ、犯罪が減ることに寄与する可能性はあるだろう。性犯罪者の発生は、特有の生まれ育った後天的な環境にも依存するし、先天的な精神面での歪んだ考え方からくるケースもあると聞く。

性風俗の常識すら変えうるテクノロジー

 未来において、完全に近いセックステックが実現した場合、おそらく大きな市場となることが予想される。『デリヘルの経済学』(こう書房)の著者であるモリコウスケ氏によると、出版当時(2007年)のデータだが、性風俗の市場規模は5.6兆円以上と推定されるという。