私が所属しているA級は西山朋佳女流三冠が7-1で独走し、里見白玲への挑戦を決めた。昨年のリターンマッチであり、西山さんはさぞかし燃えていることだろう。熱戦を期待したい。
今の私は勝負への貪欲さが足りない
私はと言うと、2-4と中盤まで苦しい星取りだったが、そこから2連勝して残留を決めた。同じ成績だと順位が低い人が降級となるのが順位戦の特徴で、最下位10位の私が最終局を待たずに残留を確定できたのは、運がいい。1番上のクラスに所属するというのは大事なことで、来期も挑戦を目指すことができる。
順位戦を数年戦い、昇級したり、降級のプレッシャーを感じたりして思ったことは、今の私は勝負への貪欲さが足りないということである。
勝てば嬉しいし、負ければ悔しいけど、「絶対に勝ちたい!」という強いエネルギーは持っていない。「せっかくだから勝ちたいなぁ」というようなふわっとした意識であり、負けた時も「まぁ仕方ないか」と静かに納得してしまう自分が、少なからずいる。2-4で降級がチラついた時も、落ちたら落ちたで仕方ないと、危機感はあまりなかった。表が送られてくるだけでザワついた夫との差を感じる。
若い頃はもっとバチバチしていたのかは思い出せないが(たぶんしてた)、もしかしたら自分で思っていたよりも勝負師には向いていないタイプなのかもしれない。
女流棋士で「怖い」人も、増えてきたと感じる
里見女流五冠や西山女流三冠を始めとした、現在の女流棋界のトップクラスは勝負に関してはかなりシビアで、それぞれがライバル意識を隠すことなく戦っている。気持ちを盤に乗せるのがみんな上手く、技術は当然ながら、将棋は気持ちも大事なのだと感じさせられることが多い。そういう女流棋士は「怖い」オーラをまとっていて、やわな気持ちでぶつかっていくとすぐに跳ね返される。棋士は対局中多くの人が「怖い」が、女流棋士で「怖い」人も、増えてきたと感じる。
A級に残留し、女流名人リーグに所属できているのは、私の感覚では上々だけれども、また更にもう1つ上を目指すなら、そういう意識的な部分を変えないといけないのだろうな、と思う。絶対にタイトルを取りたい!とは、年齢や環境的なものも含めると、なかなか心の底からは思えないが、それでもやっぱり将棋を指す以上は、少しでも上を目指したいと思うのも、私の本当の気持ちだ。
タイトル戦が終わると、また次の予選が始まる。
淡々とスケジュールは進行し、年月を重ね、歴史は作られていく。
「せっかくだから」、歴史を作っていく側にもう少し入りたい、と思えるようになりたい。