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「LGBTQ+への理解」が日本は極端に遅れている

内田 もう一つ、話はとぶようですが、ジャニーズの問題に関して思うのは、日本でもっとLGBTQ+の方々についての理解が進んでほしいということです。LGBTQ+の方々が自然と受け容れられ、人権が守られる環境は世界的にみても少ないと思いますが、日本は先進国の中でも極端に遅れています。

 今回のジャニーズの小児性加害の問題が認識されながらも長らく放置されてきてしまったその背景には、例えば男の人が男の子の性器を口に入れる欲望なんて直視したくないと生理的な拒絶感があったかもしれません。ジャニーズタレントたちが声を上げづらかった背景には、ファンにそんな拒絶感を持たれたくないといった事情も関係していたかもしれないし、あるいはそれゆえに周囲が議論するのを避けてきたのではないかと推測します。実際は小児性加害はダメなことが焦点になるべきで、男性同士だったか異性間だったかは関係ないのです。

 ジャニーズ事務所は、小児性被害を社会から撲滅させるぐらいのミッションを掲げて変化しなければならないと思います。まずは、タレントのメンタルヘルスを守ること。ジャニーズ事務所の未来がどうなるかにかかわらず、彼らのキャリアを守るべく社会的な働きかけも必要だと思います。

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 ただ一方で、それがジャニーズ事務所の存在をキャンセルすれば問題解決という流れになってほしくありません。小児性加害は間違いなく社会全体の問題であって、日本の芸能界だけでなく、アメリカの体操協会でも問題になりました。

ジャニーズ事務所の創業者・ジャニー喜多川氏による性加害問題は今も波紋を呼んでいる ©getty

ふらいと ジャニーズ事務所は、まずは第三者委員会でちゃんと調査しないといけませんよね。外の目を入れて公正な調査を進めて、舞先生がおっしゃったように芸能界全体で、社会全体で文化を変えていくような動きにしていかないといけない。そもそも性被害というものが加害者と被害者の間の力関係で成り立っているわけで、それは必ずしも加害者の男性と被害者の女性に限定されるわけでもありません。

 先ほど話した性交同意年齢を引きあげる改正案には、グルーミングという行為にきちんと罰則を設けようと、「性的グルーミング罪」の創設も新たに盛り込まれました。例えば、16歳未満の子どもに猥褻目的で面会を要求するという事例ひとつを考えてみても、大人側は子どもからの信頼関係をもとに猥褻関係に発展させていこうとするわけです。こうした手なづけのような行為による被害をどう事前にキャッチして対応していくのかという課題は、今後も残り続けると思います。