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 4つ目が街としての見事な猥雑さだ。高層建物がなく、店舗も間口が狭く、古い建物ばかり。売っているのはBTSをはじめとした韓流アイドル関連のグッズだ。雑貨類も安い。原宿あたりとは違った異国感がある。学校帰りに寄り道してハットグをインスタにアップし、小1時間も歩き回ってお気に入りのアイドルのグッズを探す、神社でライブの当選を祈る。ちょっと素敵な時間の過ごし方なのだ。さらにこうした雑多な通りに、若者も利用しているというラブホテルが混在する。

筆者撮影

歌舞伎町へ続く人の流れ

 イケメン通りを南下して職安通りを渡ると歌舞伎町になる。最後に驚きの5つ目は、もはやこの新大久保・大久保界隈の人の流れが、職安通りを渡って歌舞伎町へ、そして東急歌舞伎町タワーまで延々と続いていることだ。歌舞伎町界隈には外国人観光客がわんさかいる。ここまでくるとアジア系に加えて欧米系も入り交り、人種のるつぼ感、混沌感はさらに高まる。女子中学生や高校生たちは歌舞伎町の魔界の中に吸い込まれていく。

歌舞伎町 ©iStock.com

 すっかり歩き疲れた私は、山手線に乗って渋谷へ向かった。駅周辺は相変わらずの再開発ラッシュだ。次々と建設される超高層オフィスビルは低層部に商業施設、中高層には最新鋭オフィス、高層部に高級ホテルを擁したものが多い。こうしたビルの低層部商業施設にはお洒落な飲食店やブティック、ブランドショップなどが立ち並ぶ。歩くのは、超高層オフィスで働くIT系オフィスワーカーたち。以前は少し怪しげな若者たちがたむろしていたセンター街もだいぶきれいになった。歩いている人たちの年齢層も少し上になった。

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 再開発ビルの御影石、大理石貼りの床はぺたんと座るには冷たすぎる。彼女らがたむろできるスペースもない。売っているものは高いものばかり。彼女らのお財布ではなかなかついていけないし、興味もわかない。高級ホテルも、何をとってもお呼びじゃないのだ。渋谷の街はお洒落できれいになりすぎた。コスパ重視で無駄な買い物はしない、彼女らにとって渋谷の街は床の大理石のように冷たい存在になってしまったのではないだろうか。

 駅裏の居酒屋に入った。なんだかほっとした。おじさんにはおじさんの居場所があるように女子中学生、高校生にも居場所は必要だ。なんでもかんでもボーナス容積率を駆使して高層建物にする東京の街づくりは、一部の人たちの虚栄心を満たすことには成功しているのだろうが、多くの人たちを幸せにしているわけじゃない。今の若者たちは、それでいてしっかり世の中を見ている。そして自分たちにとって居心地の良い街を自分の庭としている。韓国だろうが中国だろうが、そのほかのアジアだろうが関係ないのだ。