みなさまのお悩みに、脳科学者の中野信子さんがお答えする連載「あなたのお悩み、脳が解決できるかも?」。今回は、「ギターの数が多い」と悩む高見沢さんに、中野さんが脳科学の観点から回答します。(全3回の3回目。#1#2を読む)

中野信子さん ©文藝春秋

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Q 時代の空気を読まずにモノを増やし続ける自分が心配です── 69歳・THE ALFEE終身リーダー&小説家・高見沢俊彦からの相談

――23年はTHE ALFEEが結成50年、24年は僕と坂崎幸之助が古希を迎えます(桜井賢は同級生だが早生まれなのでその翌年)。還暦のときにそれまで蒐集してきたギターを数えたところ500本ありました。世は断捨離ブーム。もう増やすまいと心に誓ったのに、先日数えたら570本に増えているではありませんか。桜井は4本しか持っていないのに。

 

 こうなった原因のひとつには、ギタリストへのリスペクトがあります。ジミー・ペイジ、エリック・クラプトン、ヴァン・ヘイレン、ジミ・ヘンドリクス……スターたちのシグネチャーモデルが出ると購入せずにいられない。最近では気づいたらジョージ・ハリスンの希少なモデルをゲットしていました。

 

 次に、押しに弱い性格があります。勧められると断れない。先日も楽器屋さんに「いいのが入りましたよ」と言われて見にいってしまい、「試し弾きだけでも」と言われて弾いてしまい、「100万しませんよ」と言われて買ってしまった。99万円でした。さらに問題なのが、「ひと手間加えたがる」性格です。ギターに天使の羽をつけてしまったり、伊勢湾台風で倒れた伊勢神宮のご神木の杉で三種の神器を象ったギターをこしらえたり、シン・ゴジラ型のギターに至っては背びれが光るようになっています。そんな変形ギターも増える一方です。

 

 しかし、現代は占星術でいう「風」の時代で、モノを所有することではなく、目に見えないものに豊かさを感じる時代です。僕もミニマリストとして清々しく生きたいのに、明らかにそれに反し続ける自分に一抹の不安を覚えています。

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 THE ALFEEはまもなく50周年ですか、おめでとうございます。華やかなロココ調の高見沢さん、フォーク代表然とした坂崎さん、ハードボイルドな桜井さん。50年も一緒にいると、外見や性格がどこか似通ってくるという現象が起きることもありますが、THE ALFEEは三人三様のまま、みなさん、1ミリもそれぞれのスタイルをブレさせることなく活動されていて、本当に素敵ですよね。