2019年、39歳でステージ4の直腸ガンが発覚した漫画家のガンプさん。ガン治療の日常をつぶさに描いた『断腸亭にちじょう』(小学館)は「第27回手塚治虫文化賞」の新生賞を受賞し、高い評価を獲得した。
同年代で同じく大腸ガンになったライターが、ガン公表に当たっての周囲の反応など、働き盛りで病気を抱える日常を聞いた。
同じ抗ガン剤使ってたので「わかるわかる」って
――私もガンプさんと同じ大腸ガンで。
ガンプ え、場所はどこですか。
――上行結腸です。野球選手の衣笠祥雄と同じみたいです。
ガンプ うちの親父も上行結腸ガンでした。腹腔鏡で(手術を)?
――そうです。腹腔鏡で取りました。ガンプさんも?
ガンプ そうです、そうです。
――私もまったく同じ抗ガン剤使ってたので拝読して「わかるわかる」ってなりました。「ゼローダ」って錠剤大きすぎですよね。
ガンプ ほんとあれムカつく。喉に引っかかるんですよね。
担当編集・山本英智香(ひでちか)さん なんですかね、このサクサク繋がっていく会話(笑)。
徐々に元気になってくると「収入はどうするのかな?」みたいな雰囲気に
――周りに同年代でガンになった方がいないのでつい興奮してしまいました。ガン治療の中で書いていた日記が『断腸亭にちじょう』のもとになっているそうですが、作品として発表しようと思ったきっかけは?
ガンプ 思い出したくもないし描きたくもなかったんですけど、そもそもステージ4だし、自分はもうすぐ死ぬと思ってたんですね。でも、抗ガン剤して放射線して手術してって中で、少しずつ後遺症もなくなって元気になってくると、妻のサテコさんも「あれ、この人死なないな」ってなってくるわけです(笑)。
――ガンプさんが治療で筆を取れなくなってから、妻のサテコさんが通院の付き添いや仕事でいっぱいいっぱいになっている描写がありました。
ガンプ 最初はサテコさんも「とにかく生きててくれたらいい」と言っていたんですけど、徐々に元気になってきて家でゴロゴロしていると、「この人、収入はどうするのかな?」みたいな雰囲気が出てくるんですね(笑)。それで、空気的に漫画描いているフリしたほうがいいかなと思って描き始めたんです。
――遡ってガン告知から約4ヶ月後、「雨の日に、自身がガンの専門病院で検診を受ける一日を描いた」漫画をTwitterで公開されています。この時、ガンプさんは周囲にガン告知はしていたのでしょうか。