2019年、39歳でステージ4の直腸ガンが発覚した漫画家のガンプさん。ガン治療の日常をつぶさに描いた『断腸亭にちじょう』(小学館)は「第27回手塚治虫文化賞」の新生賞を受賞し、高い評価を獲得した。
同年代で同じく大腸ガンになったライターが、ガン公表に当たっての周囲の反応など、働き盛りで病気を抱える日常を聞いた。
直腸がないので、外出前はご飯を抜いて腸の中をからっぽに
――2019年のガン発覚から4年が経ちます。体調はいかがですか。
ガンプ 治療はもう終わっていて、薬も飲んでいないです。特に生活の制限もありません。ただ、僕の場合は直腸がないんですね。直腸ガンだったので取ることになったんですけど。
――手術で直腸を切除して、ということは人工肛門にされている?
ガンプ 一時的に人工肛門は増設しましたが、閉鎖して今は天然の肛門で生活しています。ただ、直腸がないので便意を感じたらそのまんま出ちゃうんですね。
――となると生活では工夫がいりますか。
ガンプ 今日みたいに外に出る日はご飯を抜いて、腸の中を極力からっぽに、便をなくすような感じで外出する準備がいります。食べる量と食べる時間が整ってくると、だいたい便が出る時間も決まってくるので、だいぶリズムは掴めてきたかなって感じです。
僕は漫画家っていう自宅作業の仕事だからいいですけど、会社員だったらどうするのかなって思いますけどね。
体重が50キロを切って内視鏡検査へ
――あらためて、ガンがわかった経緯を教えてください。発覚の前、なにか異変は感じていましたか?
ガンプ 19年の1月にガンがわかるんですけど、その半年前からご飯が食べられなくなっていて、白米はおかゆにして食べたり、脂っぽいものも受け付けなくなっていました。
血便も出ていましたが1ヶ月に1回くらいのもので、「痔かな?」って見逃すようなものだったんですが、さすがに体重が50キロを切るようになった時、そんなことはこれまでなかったのでようやく内視鏡検査を予約しました。
――血便や体重減少も大腸ガンの兆候として知られています。
ガンプ ただ当時は連載を抱えていて、僕は筆が遅いし、アシスタントを使っていないこともあり、とにかくずっと描き続けないとノルマが終わらない状況だったんです。
11月に検査しようと思って動き出しましたが、年末のタイミングもあって結局検査にたどり着けたのは1月になっていました。