自称「ぬか喜び系」治療のクリニック
――ガンの病院は混んでいますし、検査予約を取るのも大変なことがありますよね。
ガンプ ガンがわかってから約2ヶ月、検査ばかりで治療はしていなくて。怪しげなクリニックに行ったのも、何もせずにただ漫然と待つだけなのが辛かったので、少しでも“治療”的なことをしたかったんです。
とはいえそこの先生、自分が提供している治療のことを「ぬか喜び系」って言ってて。ぬか喜びの治療ってマズいんじゃないかと思うんですけど（笑）。
――パワーワードですね（笑）。
ガンプ そのクリニックの治療に医学的根拠なんてないことはわかってたし、決しておすすめするわけではありません。ただ、不安しかなかったあの時、はじめて気休めでもホッとさせてくれたのは標準治療を提供するガン専門医ではなく、怪しいクリニックの方だったんですよね。
治療は効かなくても、先生の明るさに救われるっていうか、話してて楽しい先生で。そもそも、そんな風に向き合ってくれる医者ってそうそういないじゃないですか。
代替治療はすすめられないけれど
――数時間待っても診察は数分で終わり、みたいなことは珍しくありません。
ガンプ ガン専門病院の先生から、「自分は今1000件抱えている。あなたのカルテを開けば『ああ、この人ね』とわかるけど、閉じた途端に忘れますから」と言われたことがあります。本当にそのとおりだと思うし、そもそも医療が一人ひとりの患者とじっくり向き合うようなシステムになってないんですよね。
医学的根拠のない民間療法については書かないほうが自分の信用のためにもいいとは思うんですけど、医療の隙間に落ちてしまってどうしようもない人が存在している社会があって、だからこそ、ああいうクリニックが存在しているのかなと思いました。
繰り返しになりますが、代替治療をおすすめしているのではなく、現実としてこういう状況があるよ、ということを伝えたかっただけです。
