「経済は誰にも負けないという思いも持っています。そういう(総裁選立候補の)準備はしていかなければと思っています」

 経済政策を前面に掲げ、自民党総裁選出馬への強い意欲を語ったのは、西村康稔経済産業相。西村氏は自民党の最大派閥安倍派に所属し、その経歴からも将来のリーダー候補の一人に名前が挙がる。しかし、安倍派が西村支持でまとまっているわけではなく、総裁選への道筋は不透明だ。また西村氏には「後輩の面倒見が良くない」「スタッフに厳しい」という批判もつきまとう。文藝春秋ウェビナー「青山和弘の永田町未来café」は6月22日、西村氏を招き、安倍派の後継者選びの行方や西村氏の実像に迫った。

左から西村氏、東洋大学国際学部教授の横江公美氏、青山氏

安倍派5人衆が「揉めるとよくない」

「総裁選は過去にも出ていますし、将来は私が経験してきたことを国のために生かしたいと思っています。総裁選挙が岸田(文雄総理)さんが辞めるタイミングであれば、政策を是非実現していきたいと思っていますから、(立候補の)準備はしていかなければと思っています」

ADVERTISEMENT

 西村氏は現内閣の一員として岸田総理が立候補しないことを条件にしつつ、「ポスト岸田」への意欲を鮮明にした。しかしお膝元の安倍派は、西村氏に加えて萩生田政調会長、松野官房長官、高木国対委員長、世耕参議院幹事長という、「安倍派5人衆」と呼ばれる有力議員がそれぞれ牽制し合い、派閥会長を決められない状態が続いている。7月8日に安倍元総理の1周忌を迎えるに当たって、「そろそろ安倍派の会長を決めないのか」と問うたが、西村氏の歯切れは悪い。

「5人でいろんなことはやっていっていますので、まずは5人の態勢を作っていくのが大事じゃないかなあと思っています。1周忌を迎えるので、その上でどういう風にしていくか考えるのかなあと。やはり5人が揉めると良くない。清和会(安倍派)が割れてきた歴史を我々は見てきていますし」

 今年、大台の100人を超えた安倍派。過去のように分裂することを恐れ、踏み出せない状況が浮き彫りとなっている。こうした中、安倍派に依然として強い影響力を持つ森喜朗元総理は、「総理候補・派閥会長分離論」を提唱しているが、これについて西村氏は、「どう答えたらいいか、なかなか難しい」と言及を避けた。