「ジャニーさんのひざの上に乗って耳舐めなきゃだめだよ」“ジャニー性被害”を26年前に告白した元アイドル・豊川誕が明かす《芸能界の悪習》と《ジュリー社長への願い》
ジュリー社長は「恥ずかしそうにメリーさんの後ろに…」
しかし、時は過ぎ、潮目は変わった。
希代のアイドル帝国を築いたきょうだいの死、海外メディアからの“外圧”、そして勇気ある告発者の出現――。いくつかの条件が重なったことで、アイドル業界の歪な支配構造があらわになりつつある。
「令和」の激動とは対照的に、還暦を過ぎた「昭和」のアイドルの言葉は、激変する世界を前にした高揚を宿してはいなかった。見えるのは、残酷なほどに激しい時の流れであり、かつていた世界が濁流に呑み込まれる様を、ただ戸惑いながら見つめるひとりの男の姿だけである。
だが、重ねた時間が語らせる言葉から見えてくることもある。
亡きメリー喜多川氏から実権を継いだ藤島ジュリー景子社長について、筆者が問いかけた時だった。
「ジュリー社長のことは、僕が事務所にいた時から知っている。小さな時から事務所に出入りしていましたから。いつもメリーさんのデスクの隣にいて、僕がちょっと声をかけたら恥ずかしそうにメリーさんの後ろに隠れるんです。大学もちゃんと行って卒業して。まじめな子だから、彼女は関係ないですよ」
ジュリー社長は本当に何も「知らなかった」のか
豊川の答えに、非難の色はまったくなかった。彼女の幼少期を知る一人として、苦境に立つ事務所の長としての苦労を慮る心情ばかりが感じられた。しかし、そこでひとつの疑問が浮かぶのだ。
ジャニー氏の「性加害」問題を受け、ジュリー氏は5月14日、一連の問題について動画で謝罪した。そこで彼女ははっきりとこう言ったのである。
「知らなかったでは決してすまされない話だと思っておりますが、知りませんでした」
年端もいかぬ頃より、母親の側でアイドル帝国のすべてを見てきた彼女は、本当に何も「知らなかった」のか。真実を知る術はまだ見つかっていない。