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アルコール依存症者の9割は自覚がない…精神科医が「一日も早く飲酒をやめて」と訴える危険な飲み方とは

source : 提携メディア

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働きながら依存症に陥る典型的なパターン

もしかして自分もグレーゾーン? 飲酒の習慣がある人なら、自分のリスクレベルがさっそく気になるところでしょう。

そこで、身近によくある事例として、グレーゾーンからもっと危険なレベルに足を踏み入れつつある、ビジネスパーソンA氏の週末の生活をご紹介しましょう。

A氏は会社の経理部に所属する30代の会社員ですが、ここ数年のうちにだんだんと酒量が増え、月曜から金曜は晩酌するのが習慣になっています。

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「このごろ、飲みすぎだな」と自覚しているもののうまくコントロールできず、飲む量や時間が長くなってきています。ただし、毎日きちんと定刻に出勤し仕事をこなしています。

金曜日の午後になるとがぜん落ち着かなくなり、お酒のことが頭から離れません。そして、待ちに待ったアフターファイブ。一人暮らしのA氏は、帰宅途中にコンビニに寄ってお酒とつまみになる総菜を買い、帰宅するとさっそく飲みながらゲームをしたり、テレビを見たりするのがいつもの週末のすごし方です。

金曜の夜から日曜日の昼まで、飲んでは寝て、起きてはまた飲むの繰り返し。日曜の午後以降、翌日の出勤に備えて飲まなければ月曜からは問題なく働けます。飲みすぎを心配されても、「ちゃんと会社に行ってるから大丈夫」が常套句でした。

日曜の午後から飲むようになり二日酔いで月曜日は欠勤

ところが……半年ほどたったころから、A氏の週末にちょっとした変化が。日曜の午後も我慢できず飲んでしまうようになり、翌朝が二日酔いで辛くなってきたのです。そしてあるとき、ついに初めての「ポカ休」。出勤当日になって、急に「ちょっと体調不良で」と上司に休むことを伝えました。

そこから、飲酒欲求はさらにエスカレートしていきます。平日の日中もお酒を飲みたくなるので、通勤途中にコンビニに寄ってストロング系飲料などを2缶以上買い、まずはその場で1缶飲みます。もう1缶は通勤用のバッグに忍ばせて、昼休みに隠れてこっそり……。こうなるともう止まりません。今度はそこから帰宅までが我慢できず、最寄り駅前のコンビニで立ち飲みし、帰宅してまた飲むという状態に。ここまでくると、周囲の人も「あれ……Aさんが変だ」と気づき始めます。

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