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アルコール依存症者の9割は自覚がない…精神科医が「一日も早く飲酒をやめて」と訴える危険な飲み方とは

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お酒と適切に付き合うにはどうしたらいいか。東京アルコール医療総合センター・センター長で医師の垣渕洋一さんは「日本には約900万人の“アルコール依存症予備軍”がいると考えられている。ごく普通に働いている人の中にも、無自覚なまま依存が進行している人は少なくない」という――。

※本稿は、垣渕洋一『「そろそろ、お酒やめようかな」と思ったときに読む本』(青春出版社)の一部を再編集したものです。

写真=iStock.com/RapidEye ※写真はイメージです - 写真=iStock.com/RapidEye

「アルコール依存症予備軍」は推計900万人

お酒の飲み方や考え方は十人十色です。イベントのときだけ飲む人、習慣的に飲んでいても問題ない人、依存症の予備軍、すでにグレーゾーンを超えて飲酒問題が続発している人、逆にあえてシラフを選ぶ人……。

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ここで注目したいのが、読者のなかにも少なからず存在するはずの、「アルコール依存症予備軍」に位置づけられる人々です。

日本のアルコール依存症者の数はおよそ100万人ですが(厚生労働省調べ)、「アルコール依存症疑い」(約300万人)と「問題飲酒者」(約600万人)を合わせた「依存症予備軍」は推計900万人です。

また、これに「生活習慣病のリスクを高める飲酒者」(約1000万人)を含めた約1900万もの人が、「ハイリスク飲酒者」(グレーゾーン、プレアルコホリック)です。

本稿では「アルコール依存症疑い」から「生活習慣病のリスクを高める飲酒者」までを「ハイリスク飲酒者」と表記することにします。

細かく見ていくと、同じグレーゾーンでもローリスクに近い人から、「もう一歩で依存症」という境界線ギリギリの予備軍まで幅広く、副作用の表れ方もさまざまです。

また、ごく普通に職場に行っているなかにも、ハイリスク者やすでに依存症まで進行している人がいます。

ところが、「自分はちゃんと仕事をしているから大丈夫」だと言って、本人も周囲も気づいていない、「ちょっと変だ」と思いながら何も対策していないことが少なくありません。

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