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アルコール依存症者の9割は自覚がない…精神科医が「一日も早く飲酒をやめて」と訴える危険な飲み方とは

source : 提携メディア

9割の人はアルコール問題を抱えている自覚がない

アルコール依存症は中年男性の病ととらえられがちですが、20代や30代の若い層にも多く、最近は若い女性が治療するケースも目立っています。その背景に、コスパのいいストロング系飲料の存在があります。

また、女性好みの甘くて口当たりのいいアルコール飲料も数多くあります。飲みやすさとは裏腹にアルコール度数が高いため、気軽に飲んでいるうちに多量飲酒に移行しやすいのです。

一見して「アルコール問題」を抱えていることがわかる依存症者はごく一部で、実は9割の人は病気の自覚がないまま職場に行ったり、家事をこなしたりするなど、社会的な役割を果たしています。ただし、裏を返せば9割の人に治療を受けないまま重症化させてしまうリスクがあるわけです。

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進行すると職場でミスやクレームが増えたり、家庭でも飲酒によるトラブルが頻繁に起こったりします。当人が否認すると治療を進めづらく、かなり重症化するまで見すごされることもよくあります。

治療のゴールは「シラフのほうが幸せ」と思えること

依存症が進行すると、「飲んでいれば幸せ」という思考に流れていきます。専門的にはこれを「酔いの思考」と言いますが、お酒をやめるだけだとその不健康な思考は変わりません。むしろ、抑うつ状態から自己憐憫のモードに入ってしまい危険です。

「これまで一生懸命働いてきたのに、好きなお酒も飲めないなんて自分はかわいそう」「アイツのせいでお酒の量が増えてしまった」などと、被害妄想に陥りやすいのです。

精神面の治療のゴールは、禁酒して「シラフのほうが幸せ」という思考や生き方に転換すること。そのためには、自分でアルコールの悪影響を理解して酔いの思考をあらためる努力をし、治療や支援を受けながら調整することが大切です。

垣渕 洋一(かきぶち・よういち)
東京アルコール医療総合センター・センター長
成増厚生病院副院長。医学博士。筑波大学大学院修了後、2003年より成増厚生病院附属の東京アルコール医療総合センターにて精神科医として勤務。著書に『「そろそろ、お酒やめようかな」と思ったときに読む本』(青春出版社)がある。
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