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 ところが近年、公文書を政治家が「捏造」と決めつけるとか、官僚が改ざんをするといった、とんでもない事件が立て続けに起きた。(中略)これは「権力の行使」に大きな問題があると考えられます。さらには「政治主導」に起因する問題もあります。〉

「権力の使い方」が問題だ

 それにしても、なぜ公文書は大切なのか? 福田氏は「公文書は日本国の証し」だとして、熱を込めてこう語る。

〈そもそも公文書を改ざんしようという発想自体が言語道断です。なぜ公文書を残すことに懸命になっているかといえば、これが日本国の証しだから。「これこれこうした議論を経て、こんな法体系を積み上げて、今のこの社会ができているんですよ」というプロセスを示すものであり、国際社会に向けて「日本はこうやってきた」と説明するための証拠品なんです。その証拠を改ざんしたり捨てるなんて、とんでもない。〉

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安倍晋三氏 ©文藝春秋

 そして、安倍政権下で頻発した公文書改ざんの背景には、権力者の自覚の欠落があると指摘する。

〈私は、要は「権力の使い方」の問題だと思うんです。各省庁の幹部や大臣は権力者ですし、その大臣を束ねる総理大臣の権力は非常に大きいものになる。

 問題は、その権力者が「自分は大きな権力を持っている」と自覚しているかどうかです。権力というものは、使い方を間違えると、国家という城の石垣である公文書を壊したり置き換えたり、とんでもないインチキが始まってしまう。

 例えば2021年、国土交通省の建設工事受注動態統計の数字を担当官が業者に無断で勝手に数字を書き換えていた不正が発覚しました。厚生労働省の毎月勤労統計などでも不正がありました。よその国に「統計がいい加減だ」とケチをつける人がいますが、日本はそんなこと言えますか。実に恥ずかしいことです。〉