1ページ目から読む
3/3ページ目

「官邸主導」の罪

 さらに福田氏は、小泉純一郎政権から進んだ「官邸主導人事」が官僚の行動を歪めたともいう。

〈内閣人事局ができたことにより、官邸が官僚の人事権を握り、官僚が萎縮して何も言えなくなったとの批判があります。この構想は福田内閣の頃から議論が始まり、私も責任がないとは言えません。ただ、こんなに評判の悪い仕組みができあがるとは、当時は夢にも思っていなかったし、甘く考えていた。そこは忸怩たるものがあります。(中略)

 こうなった以上、政治家はもう、権力をフルに使うことは止めなければいけない。権力行使は、正しい政治のために必要最低限度にとどめるべきなのです。かつては役人の交代が早過ぎると思っていたが、せいぜい2年で交代すべき。長く要職に就く者がいると、そこに新しい権力構造ができてしまう。政策自体も歪んでくる。〉

ADVERTISEMENT

黒塗りにされた森友関連文書 ©時事通信社

 2028年には新しい国立公文書館が完成する予定だ。そこに福田氏はこんな期待を込めている。

〈だからこうした不祥事を機に、国民の間に「もっと記録を重視しよう」という機運が高まれば、政治家が記録を残す動機につながります。公文書改革はまだ完成していない。オン・ザ・ウェイなんです。〉

――福田康夫元首相のほか、初代公文書管理担当大臣の上川陽子氏、公文書に関する政府有識者会議のメンバーを歴任した老川祥一氏、国立公文書館館長の鎌田薫氏、元国立公文書館館長の加藤丈夫氏が参加した「公文書を守れ!」は、7月10日発売の「文藝春秋」8月号に全15ページにわたって掲載されている(「文藝春秋 電子版」では7月9日に公開)。

文藝春秋

この記事の全文は「文藝春秋 電子版」で購読できます
公文書を守れ!