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20年来の“うるさ型”ファンが、今季の新庄ファイターズに期待する理由

文春野球コラム ペナントレース2023

2023/07/23
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ノムさん時代の阪神野球の記憶がなぜか現在の新庄ハムと重なる

 となれば期待したい選手は、野村佑希しかいないだろう。入団当初から高い期待をかけられながらケガがちで伸び悩み、今年こそはとまなじりを決して臨んだ2023年シーズンは、不振でついにファーム落ちしてしまった。しかしファンなら誰もが彼がリーグを代表するスラッガーになることを信じて疑わなかったはずだし、野村をライバルとして激しく意識する万波がホームラン王を狙う勢いで数字を残していることで、逆説的に野村の資質の高さが証明されたとも言える。

 素人目には、野村は自分の打撃技術に自信を持っているがゆえに難しい球にも手を出してしまい凡打を繰り返しているように見える。去年新庄監督が口を酸っぱくして言っていた積極性の持ち主だが、それがうまく噛み合っていない。ファームでは早くも格が違うところを見せているが、1軍の投手はファームの投手のように不用意に甘い球は投げてくれない。ファームで何かを掴み、最短で1軍に上がってきてほしい。野村清宮万波のクリーンナップがエスコンフィールドで連日大爆発、という日をファン全員が待っているのだ。

 私がハムファンになる前に応援していたのは野村阪神だった。長い間ホークス・ファンだった私は野村監督の就任と共に阪神推しになったのだが、今思い返してみてもノムさん時代の阪神野球は実に面白かったし応援のしがいがあった。その時の記憶がなぜか現在の新庄ハムと重なるのである。

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新庄剛志監督 ©時事通信社

 春先は調子よくても6月になると急降下する戦いぶりも似ている。采配の傾向や方向性は全然違うが、それまで実績のない選手もフックアップして働きどころを与えようという姿勢、ファンを常に意識して喜ばせるようなサービス精神、そして何より、いくら弱くても創意工夫してなんとか相手に一泡吹かせようという意志。ノムさんは理詰めで新庄監督は勘ピューター(それなりに根拠はあるようだが、思いつきに見えてしまうのがツライところ)という違いはあるが、選手がそれになかなか応えられない、というところも似ている。

 新庄監督がノムさんのように名監督と言われることになるかはわからないが、ノムさんのように辞めてからチームが強くなる、なんてことがないよう、頑張って応援したいところです。監督も今年の優勝、全然諦めてないようだし。まだまだシーズンは長い。じっくり付き合っていきましょう。

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