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望まれる右打者の台頭

 2つ目は『右のポイントゲッター積極起用』。

 現在の打線のバランスを考えると、やはり右打者の台頭が望まれるところ。加えて打点を稼いでくれる「5、6番」もしくは「7番」あたりに、そんな打者がいれば一気に厚みが増すのではないか。

 長打を求めたい外国人勢が振るわないとなれば、やはりリチャードに期待したくなる。いつまでも開花しないロマン砲に対して厳しい声だけでなく、最近はあきらめに近い言葉も散見されるものの、あれだけのパワーの持ち主は球界全体を見渡しても本当に見当たらない。宝の持ち腐れで終わってしまっては球界の損失である。

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 彼自身、残念なのはプレッシャーを自らにかけてしまうタイプ。それが空回りして結果がついてこなかった。ただ、突き放すのは簡単だ。それを好転させるのも首脳陣の役目である。「使った方が責任をとるから」とポンと背中を押してあげるだけで、いいキッカケをつかむような気もするのだが。

 また、右打者では野村大樹の勝負強さは大いに魅力。自らもそれを公言し「チャンスで回ってこい、回ってこいといつも願っているんです。お客さんやチームメイトからの『打ってくれ』の願いや言葉が僕の力になる」という強心臓の持ち主だ。2軍では打率3割中盤を打つのが当たり前になってきている。ウエスタンのレベルは完全に卒業しており、1軍で経験を積ませることでさらに成長する打者ではないかと見ている。

未来を見据えた先発転向

 3つ目は投手だ。『大津亮介の先発転向』。

 これは今季すぐの効果より、未来を見据えたものだ。他球団に比べると、ホークスの場合はチームの中に将来の柱候補となる若い先発投手が少ないように感じる。活きのいい若手投手がややリリーフに集中しすぎているのではないか。手は打っておくべきだ。

 現在のブルペン事情。モイネロが左肘手術で離脱したものの、藤井皓哉が再びリリーフに回り、復調した又吉克樹も1軍に帰ってきた。さらに「8回の男」候補としてオリオールズ3Aの左腕・ダルウィルソン・ヘルナンデス(26歳)を獲得するとスポーツ紙各紙が報じている。津森宥紀や甲斐野央もおり、戦力の供給過剰が起きているようにも映る。

 ドラフト2位ルーキーの大津は34試合すべてにリリーフ登板し、2勝0敗11ホールドをマーク。貴重な戦力となっているのは間違いないが、今月25日に右手中指のマメの影響で出場選手登録を抹消された。筑後のリハビリ組に合流した本人に取材をすると「28日に病院に行って問題なければ、すぐに投げます」と話しており復帰は早そうだが、これを機に先発として調整する時間を設けるのもアリだと思う。大津は「ワンシームは2種類。小さいのと大きいので分けています。あとはスライダー、カットボール、チェンジアップ、スプリット。スライダーとカットボールもカウントで使い分けをしている」と胸を張るほど多彩な変化球を持っており、先発のほうが向いていると考えることもできる。また、リリーフで「困ったときは松本」と何度もチームを助けてきた松本裕樹も先発で見てみたい1人だ。

 一個人の見解にすぎないので、賛否は当然あるでしょう。だけどこうやって「ああでもない、こうでもない」と共通の話題で盛り上がれるのがプロ野球の魅力。話のネタに使っていただけるのであれば、それもまた幸いです。

 それに十人十色の意見が出たとしても、ファンの願いはみな同じ。秋が深まりを見せる頃に最高の喜びを分かち合うことだ。

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