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脱毛ヤケドすらお手上げなシロウト医師ばかり…皮膚科専門医が「金儲け」と批判されても医療脱毛を続けるワケ

source : 提携メディア

genre : ライフ, 医療, ヘルス

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一方、美容医療は自由診療で、クリニックが単価を決めることができます。経営面でのメリットも、私が美容医療を取り入れた理由の一つです。ですから、皮膚科専門医のいないクリニックでも、経営の課題解決のために美容医療を始めることについて理解できないわけではありません。

患者にとって「保険診療+美容医療」がベスト

特に医療脱毛はニーズの多さ、機械の扱いやすさから障壁が低いと考えられており、皮膚科以外のクリニックも参入しています。しかし、皮膚科専門医の私でさえ、医療脱毛を始めてから5年近くたっても「この肌にレーザーを当てても大丈夫か。やけどはしないのか」と判断する際の緊張感はなくなりません。それほど見極めが難しいのです。ですから、専門外の医師が医療脱毛を始めるのであれば、せめてやけどの治療法は習得しておいてほしいというのが本音です。

私自身は保険診療、美容医療どちらにも力を入れ、それぞれのメリットを活かせる「ハイブリット皮膚科」を提唱しています。それによって費用の面も含め、患者さんにとってベストな治療法を提案できるからです。実際、ニキビの治療などで美容医療の施術を希望して来院した患者さんであっても、まず保険診療で薬を処方し治療した後、それでも治らなければ美容医療に切り替えることもあります。

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今、美容医療は若年者だけでなく高齢者、女性だけでなく男性にも広がっており、ますます皮膚科の専門知識をもって判断する場面が増えています。これ以上、不安な思いをする患者さんを増やさないためにも、皮膚科専門医による医療脱毛クリニック、美容クリニックはもちろん、患者さんのために理念を持って医療脱毛、美容医療を提供するクリニックが増えてほしいと心から願っています。

花房 崇明(はなふさ・たかあき)
皮膚科医(医学博士)
医学博士(大阪大学大学院)、日本皮膚科学会皮膚科専門医、日本アレルギー学会アレルギー専門医、日本抗加齢医学会専門医、難病指定医。2004年大阪大学医学部医学科卒業。大阪大学大学院医学系研究科皮膚科学博士課程修了(医学博士取得)、大阪大学大学院医学系研究科皮膚科学特任助教、東京医科歯科大学皮膚科講師・外来医長/病棟医長などを経て、2017年千里中央花ふさ皮ふ科開院。2019年医療法人佑諒会理事長就任。2021年より近畿大学医学部皮膚科非常勤講師兼任。2021年分院として江坂駅前花ふさ皮ふ科を開院している。
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