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脱毛ヤケドすらお手上げなシロウト医師ばかり…皮膚科専門医が「金儲け」と批判されても医療脱毛を続けるワケ

source : 提携メディア

genre : ライフ, 医療, ヘルス

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では、なぜ医師がいる医療機関で脱毛を行った患者さんが、新たに皮膚科を受診しなければいけないのでしょうか。

皮膚科の研修を受けなくても医療脱毛はできる

脱毛クリニック 時給10,000円
【募集科目】科目不問(未経験可)
【業務内容】医療脱毛施術前の問診

私が今月、目にした医師向けの求人情報です。

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医師というのは医師免許を取得後、2年間の初期研修期間を修了しさえすれば、特別な資格などなくてもクリニック開業が可能になります。この初期研修期間は内科、救急科などの必修分野として定められた診療科目のローテートが義務付けられていますが、皮膚科での研修は必須ではありません。

初期研修を終えた医学部卒業後3年目の医師や、初期研修後、診療科での勤務経験が浅い皮膚科医・形成外科医以外の医師をアルバイトとして配置し、施術に関することはすべて看護師が行っている営利目的のクリニックも一部にはあると聞きます。上記の求人もそうした医師を募集するためのものでしょう。

それでも「医師ならやけどの処置ぐらいできるだろう」と思われるかもしれませんが、皮膚科の保険診療の経験がないと難しいのだと感じた出来事がこれまでに何度もありました。

「皮膚科だから安心」とも言い切れない

例えば、前日に熱湯でやけどをして夜間救急を受診したお子さんを翌日、当院で診察したところ、応急処置として患部を保護するだけのワセリンなどが塗られていただけというパターンです。

状態にもよりますが、やけどの初期にはステロイド外用薬をできるだけ早く使用して炎症を抑えるのが皮膚科では常識です。ただ、やけどが治っていくその後の過程においては、ステロイドを塗るとキズの治りが遅くなったり、ばい菌に感染しやすくなったりすることもあるため、経験の浅い夜間救急の当番医は無難にワセリンを塗ったのでしょう。

では、皮膚科医なら安心なのかというと、そうとは言い切れないのが難しいところです。前述したように医学部卒業後3年目にはアルバイトが解禁になるなど、普通の医師として診療ができます。そして、日本では「自由標榜制」によって、麻酔科以外であれば、経験年数に関係なく、自由に診療科目を選び、看板を掲げることができるのです。