「人生最高のセックス」には到達するためには…
セックスは単なる快楽にはとどまりません。人と人との究極的なコミュニケーションとしてセックスは存在します。そして性は、誰のものでもないその人の核となるもの、いわば尊厳です。
性欲や性的な衝動は生きていく上で重要ですが、女性と見たら誰彼構わず声をかけ、「ヤレる/ヤレない」など、まるで女性をモノ扱いするような姿勢でパートナーと向き合ったままでは、「人生最高のセックス」には到達することはできないでしょう。
もしも、あなたが目の前のもっとも親しい相手のことを蔑ろにしたまま、独りよがりなセックスを続けているとしたら……目の前の相手の「性」を尊重しない人が、社会のなかで円滑なコミュニケーションを取れるでしょうか。そうした人は、周囲から人が離れ、やがて孤独に陥り、セックスする相手も現れなくなっていくでしょう。
性生活はとても大切な「カギ」を握っている
逆に、パートナーと深い満足感のあるセックスを交わすことができれば、愛情・愛着が深まると同時に自分への自信も芽生え、生活全体に張りが生まれ、精力もみなぎります。今を生きている実感と活力は、社会と良好な関係を築く原動力にもなります。性が充実すれば、精がみなぎり、精がみなぎれば、さらに性も充実する。これこそ「性」と「精」の好循環です。
しかし、年齢を重ねていくとどうしても避けられないのが、加齢によるEDや早漏・遅漏、中折れなどの問題です。これらによって、せっかくうまく循環していた「性」と「精」のサイクルが、うまく回らなくなってしまうケースがあります。さらに問題が深刻化すると、後編で挙げるような「スキンハンガー」(皮膚接触渇望、身体的コミュニケーションへの強い欲求)となり、精神的に不穏になったり、孤独感を深めて世間から孤立してしまう……といった事態も引き起こされます。
性は精であり、生きる強さにもつながります。さらに誰からも侵されない、その人の尊厳という意味で「聖」でもあります。人生100年時代といわれる今、人生後半戦を生き抜く上で、性生活は私たちが思う以上にとても大切なカギを握っているのです。