人間の性的な欲求は、男女共通して最終的に“脳”が決める
このようなトキメキは、ホルモンだけでなく脳内物質にも大きく関与するといわれています。特に大きな関わりがあるのが、興奮性の神経伝達物質であるドーパミンです。ここでは深追いは避けますが、この本を手に取っている皆さんなら、一度は聞いたことがあるでしょう。
人間の性的な欲求は、男性ホルモンや女性ホルモンだけが決めるのではなく、最終的には脳が決める部分も非常に大きい。これは男女共通していえることです。
トキメキは、いつ何時やってくるかわかりません。いくつになっても“いつでもフォーリンラブできる体”をつくっておきたいものです。
「性と精」の好循環~なぜ中高年のセックスが重要なのか?
これまで世間一般には、年齢を重ねるごとに人は性に対して保守的になり、「もう歳だから」とセックスを諦めざるを得ないイメージが漠然と抱かれていました。しかし、先に挙げた私の調査結果からもおわかりになるように、医療技術も発達し、コミュニケーションツールも豊かになった現代では、いい意味で性、セックスに対して貪欲に向き合っている中高年が大勢いることがわかりました。
ここで重要なのは、セックスを楽しむには、相手となるパートナーの存在が必要であることです。たとえ自分が「死ぬまでセックスしたい!」と強く願っても、パートナー不在のままでは成り立ちません。単に射精をして、一時的な性的快楽を得たいだけなら、マスターベーションをしたり、性風俗を利用して性欲を解消してもよいでしょう。しかし「人生最高のセックス」、つまり、相手としっかりと心が通い合った愛に満ちた性生活を求めるならば、他者という存在抜きには考えられません。
単にパートナーの有無だけでなく、自分がどのように他者と関わって生きているのか、生きていきたいと考えているのか──いわば、他者とのコミュニケーションのあり方やその人の生きざままで問われてくる。これがセックス、性の奥深さです。