「世の中は、3割の人間ががんばって成立している。あとの4割は仕事をしない。残りの3割は邪魔しかしない」――押井守監督が自身の知見から導きだした「3:4:3の原則」とは?
前代未聞の人生相談本『押井守の人生のツボ 2.0』(構成/インタビュアー:渡辺麻紀)より一部抜粋してお届けする。(全2回の1回目/後編を読む)
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【Q:すぐに仕事を減らしてもらう同僚にもやもや(会社員・40代・女性)】
同じ部署の同僚のことです。彼女は、自分のキャパ以上の仕事が回って来ると上司に「こんなにできません」と言って仕事を減らしてもらっています。残業をするつもりはまるでないようです。
当然、そのしわ寄せは私のところに来ます。私は土日を削ってもやってしまうので、それが繰り返されてしまう。キャパは人それぞれだと判っているし、自分が彼女のように「できません」と言える性格でもないことも知っています。でも、不公平じゃないのと、暴れたくなる夜もあります。押井さん、私はどうやってこの気持ちと折り合いをつければいいのでしょうか?
押井守「世の中はそういうふうにできているから、仕方ありません」
押井 「暴れたくなる夜もあります」ってことは、実際は暴れてないんだよね。だったら一度、暴れてみればいいんじゃないのと思うけど、そういうことができない人だから、こうやって「相談」になる。
だから、そういう人は暴れられないの。そして、人の仕事を背負ってしまうタイプの人間なんですよ。どの職場にもいると思うよ、このタイプ。でも、こういう人がいるから集団も会社も職場も成立している。仕事を終わらせるために、言われもしないのにやっちゃう人。「わたしはこんなにがんばってるのに、なぜアイツはやらないわけ?」って文句が溜まっていく。それはわたしに言わせれば「あんたが悪い」です。
――ということは、やっちゃうのがダメだってことですか?
押井 そうです。だから「あんたが悪い」。でも、世の中はそういうふうにできているから、これはもう仕方がない。
――ということは、「あんたが悪いけど、仕方ない」……。
押井 世の中は、3割の人間ががんばって成立している。あとの4割は仕事をしない。残りの3割は邪魔しかしない。これを「3:4:3の原則」と呼びます。
――初めて聞きました。誰が考えた原則ですか?