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 忙しい理系の大学生が、日々生活に使うお金にプラスして年間70万円近くを貯めるには、普通のアルバイトでは不可能だ。目的を達成するには、単価が高くて出勤が自由な風俗しかなかった。週1、2日程度しか働けないとなると、待機時間が長いデリヘル、出勤時間が決まっているキャバクラも選択から外れる。客付きのいい大衆ソープランドが一番いいだろう、ということになった。

М性感ヘルスに移転

「ソープランドはすごくキツかった。オラオラみたいなお客さんが多くて、無理やり挿入されるとか、血が出るまで手マンされるとか。今までそんな仕事は経験ないのに、いきなり知らない人に血が出るまで手マンされて、無理やり押し倒されるとかショックじゃないですか。大学を卒業するために、こんなことをしなきゃならないんだって。スカウトマンに、もうちょっとソフトなことにしたいっていってМ性感ヘルスに移ったんです。最初にあまりにヒドイ経験したので、М性感ヘルスは楽でした」

 М性感ヘルスとは具体的になにをする店なのか。

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「えっと、基本的には、男の人のアナルをマッサージして拡張してあげたりとか、あとはシンプルに手コキとか、お客さんの要望に合わせてやる。アナル開発コースとかソフトタッチ手コキコースみたいなのがあって、単価はどうしても安くなるけど、ソープより全然楽なのでいいです」

写真はイメージです ©iStock.com

大学で飛び降り自殺未遂

 風俗を始めたのは大学3年生の5月。もうすぐ2年になる。

 最初は土日祝日を中心に週1、2日の出勤で、収入は月15万円程度。大学と介護の合間を縫っての風俗勤務は大変だったが、学費の目途がついたことで精神的に楽になった。愛菜さんは、また「泣いてもいいですか? つらくなってきた。はぁ」といって泣き出した。どうも泣いてしまう原因は、風俗ではなく、介護する父親、それと大学のゼミにあるようだった。

「自分の中では学費とかお金の問題より、うーん、父親がいる家が気持ち的に耐えられなかった。父親には子供の頃からお前はダメな奴だ、お前はなんの能力もない、っていつも怒鳴られてた。介護するようになって毎日いわれるようになって、そんななかでソープでレイプみたいなことを何度もされて、忙しくて眠る時間もなかった。睡眠不足が原因だろうけど、父親に殺意みたいな感情も湧いてきたり。このままだと、本当にまずいと思っていました」