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「しょせん週刊誌レベルの話だろって」事務所への忖度ではない…新聞が「ジャニーズ性加害」を報じなかった理由とは

2023/07/11
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問題の検証は「外部発注」

 ここで疑問なのは、朝日新聞はジャニーズ問題の検証を「外部発注」にズラしているようにも見えることだ。重要なのはこの20年だけではない。この数カ月だけでもそう。朝日新聞は4月に被害者が記者会見で証言した際に社説で、

《メディアの取材や報道が十分だったのか。こちらも自戒し、今後の教訓としなければならない》(4月15日)

 と書いていたのだが、そのあと記者による検証企画は今もない。この数カ月間のことだけでも知りたいのに。それとも論説委員の個人コラムで「はい、一丁上がり」なのだろうか? するとその論説委員は最新のコラムでこう書いていた。

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『ジャニーズ問題 テレビ局、今回も「放置」なのか 田玉恵美』(7月8日)

「私だって釈然としてませんよ。でもどうしようもなくて、嵐が過ぎ去るのを待っている」

「広告主も動いていないし、視聴者も今まで通りタレントを見たい人のほうが多い。事実関係もわからないし、行動に出る理由がない」

 というテレビ局幹部らの言葉を載せていた。ラストは、

《今は騒ぎになっているが、そのうち視聴者も気にしなくなるだろう――。そんなふうに見くびられたまま、ジャニーズ問題も「過去のこと」にされていくのだろうか。》

 読者を見くびらないで欲しい。朝日新聞だって記者による検証はまだ始まっちゃいない。そうやって「過去のこと」にされていくのだろうか。

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