私の嫌いな言葉に「文春砲」がある。先日出演した番組でそんなコメントをしました。文春砲といちいち騒がれるのは他が報じていないという裏返しでもあると思うからです。

 あと文春は別に正義の味方でもなんでもない。私は週刊誌は「猟犬」だと考えている。猟犬は政治ネタだろうが芸能人の不倫ネタだろうが目の前にあれば獲ってくるのが性(さが)。スキャンダリズムが得意で刺激と下世話にあふれる。

 だから目の前に出されて問われるのは読み手側。そんなことを話しました。

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新聞は「なぜ報じなかったのか」

 さて、文春独走案件と言えばジャニー喜多川氏の性暴力問題がある。文春が20年以上報じてきた問題だが今年イギリスのBBCが番組で報じたり、被害者が外国特派員協会で会見してからテレビや新聞も報じるようになった。

ジャニー喜多川氏 ©Getty

 となると新聞好きな私は「なぜ報道しなかったのか」という理由を読者として知りたくなった。ジャニーズ事務所に対する忖度があったのか、それとも別の理由があったのか?

 すると先週の毎日新聞夕刊に、

『これだけは言いたい 記者たちよタブーを作るな 読売新聞東京本社元社長・滝鼻卓雄さん 83歳』(7月7日)

 というコラムがあった。書いた毎日新聞の記者は定期的に滝鼻氏に会っているらしい。すると今回はジャニーズの性加害問題について「もっと早く大手メディアが取り上げるべきだったよな」と口にしたという。