雇用保障も残業代もない可能性も
大企業よりもベンチャーの方がより資本主義の荒波にさらされており、投資家のプレッシャーが常に経営陣を直撃しています。成長途上の状態で出資金を引き揚げられたり、追加出資を得られなくなっては事業を続けられないので、投資家を説得できる成果を出さなければいけません。相応の営業キャッシュフローの獲得か、先端的ナレッジの獲得・開発か、何らかの企業価値向上の材料を求められます。
そのため人材要件が厳格です。
事業開発責任者になりたければ、自分自身でゼロから事業を立ち上げた経験が求められます。若手の場合はポテンシャルを認められれば採用されますが、ミドルの場合は単に事業開発に関わっただけでは不十分で、企画、予算獲得、業務遂行、成果に責任を持った経験を問われます。
営業責任者になりたければ新規営業をやりきる覚悟が必須です。大企業のルートセールス型営業とは全く違う業務です。知名度も信頼もゼロの状態から、電話営業、DM、訪問営業を駆使しなければいけません。詳細かつ分かりやすいプレゼンも求められます。
マーケティング責任者を目指すならSNSからテレビCMに至る様々なデジタルマーケティング手法を使いこなすスキルが求められます。経理や財務のスタッフは、財務戦略を立案でき、外部資金獲得までできる人材が期待されるでしょう。
就業契約に関して言えば、取締役はもとより、執行役員・部長級のポジションでも2~3年の期間を定めた委任契約となることが少なくありません。委任契約とは組織に長期雇用される正社員ではなく、プロとして組織と対等な関係で働くということです。雇用保障という概念も残業代という概念もありません。その認識が違っているようであれば、安定企業の正社員でいることをお勧めします。