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ベンチャーと大手で求められる能力はまるで別だ

 ベンチャー経営者は新しい仕組みを作ろうとしている人です。一方で大企業人材の多くは、仕組みのなかでビジネスをしている人です。

 私は通算10年ほど大手広告会社に所属していましたが、得意先からの業務委託でマーケティングキャンペーンをやるということと、自分自身が主催者としてキャンペーンをするということでは、必要な能力の質がまったく異なることを痛感しました。主催者は周囲からの批判にさらされながら、アイデアをまとめる能力、資金を獲得する能力、人を集める魅力、赤字を受け入れる度量を発揮しなければいけません。業務委託でキャンペーン業務をする人材はこうした能力やマインドを発揮するわけではありません。

 自分で仕組みを作ること、そのためにリスクを負えること。ベンチャーに基幹人材として転身することは、脱・会社員ということに近いのです。その立場になることを心底望む人は、ベンチャーに一日も早く身を投じるべきです。ベンチャーで厳しい経験を積んで、数十億円規模の資金調達ラウンドに関与することができれば、その経験はどんな企業にも評価されます。高難度の国家資格を取得するよりもキャリアを押し上げる効果があります。(前編を読む)