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永松 青年時代はオシャレも恋愛も楽しんで厳しい修行もする、青春時代ですよね。森にこもって戦士として活動するのもこの時期です。

 この時期は厳しい食事制限もあって、お米やトウモロコシといったものは、“なまっちょろい”という理由でNG。マサイの主食は牛から出るものがすべてなので、牛乳や肉、家畜の血をいただきます。あと、マサイにとって一番大切な牛に関する知識もここで学ぶので、治療に関するスキルから解剖学まで、毎日のように牛を屠殺してみんなで学習するんですね。

 エウノトでは、戦士時代ともいう一番華やかで厳しい時代を卒業する誇らしさ、そして寂しさがないまぜになって、みんな震えながら男泣きするんです。それを見た私も、「なんて美しいの、マサイ……!」と、夢中になりました。

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ジャクソンさんの息子たちのエウノト(成人式のようなもの)

夫・ジャクソンと交際0日で結婚へ

――その中に、現在の夫であるジャクソンさんがいたんですね。

永松 全員イケメンで野性的な20歳前後の男性が1000人近くウワーッといるんです。それはそれはたまりませんよ(笑)。

 ビジュアル的な美しさはもちろんですが、彼らが自分たちの文化を誇りに思っているところや、他の人に何を言われてもちっとも気にもせずに堂々としているところなど、マサイの文化にすっかり惚れ込んでしまったんです。

 その中でも怖いぐらい、特別にワイルドな男がリーダーのジャクソンでした。特にあの時は、森の中にこもって大人になるための修行を10年近くしていた直後でしたから、まだ人間社会に降りてきてないというか、あっちの世界とこっちの世界の狭間にいるような雰囲気で、「キャー! 素敵!」なんて黄色い歓声は上げてはいけないような、近寄りがたいオーラを発してました。

エウノトに参加するジャクソンさん ©Koji Kitagawa

――マサイの文化に惚れ込み、中でもリーダーのジャクソンさんに心惹かれたんですね。

永松 12月に儀式を見てからずっとマサイ熱に浮かされて、ジャクソンの写真をポスターサイズに引き伸ばしたものを眺めては「はぁ~」とため息をついていました。

 当時私がよく言っていたのは、「ああ、あなたはなぜマサイなの?」(笑)。全く常識が通用しない野性的なマサイと接点なんかないわけです。「これだったらキムタクのほうがまだ脈ありじゃない?」って友人とも話していたくらいでした。

 なのに、3月に再会したところから一気に話が進み、結婚までいっちゃったんですね。

ジャクソンさんがホテルに現れ…

――ジャクソンさんとはどうやって再会できたんですか?

永松 友達のカメラマンが撮ってくれた写真をマサイの人たちに配る任務を私が仰せつかって。で、その辺を歩いているマサイに、「この人を見かけたら私が写真を渡したいと言っていると、伝言してくれない?」と伝えたんです。それはジャクソンとどうにかなりたいというより、「あのイケメンをもう一回拝みたい」くらいの、興味本位ですね(笑)。そうしたらなんと翌日、本人が私の泊まっていたホテルにやって来たんです。

――急展開ですね。