空に向かって反り返ったレール、電話ボックスに…ホームからすでに“いかにもな雰囲気”
豊島園駅は島式のホームが1面、その両脇に線路があるというシンプルな構造の駅だ。その構造は変わらず、それでいてホームの上に汽車を置いたり、電話ボックスを置いたり、ベンチを置いたりしている。屋根やそれを支える柱も赤く塗り、スタジオツアー東京への雰囲気を高める。駅前広場にも電話ボックスがまたあって、いろいろなギミックが施されている。そのあたりは、実際に足を運んでいただくとして、このリニューアルはどこにこだわったのだろうか。
「いくつもありますが、たとえばホームに置いてある汽車。あれは、池袋駅から豊島園駅まで魔法の列車に乗って、空から降りてきた、というのをイメージしたかったんですよね。だから、レールが空に向かって反り返っているんです。
でも、レールを縦に曲げるというのは普通はあり得ない、難しい加工で。弊社の保線部門の社員が喜んで力を貸してくれて、なんとか実現することができました」（五味さん）
ホームの上の電話ボックスは、ただ置いてあるだけではない。中にある受話器を取ると、ちょっと楽しいことが起こるのだとか。また、駅前広場には点々と足跡が続いていて、これまた駅前の電話ボックスの前で消える。中には人影がなく、何が起きたのかを想像するのがまた楽しい。
と、まあいくつもの仕掛けがスタジオツアー東京に向かう人たちを楽しませてくれる、新しい豊島園駅なのである。
「駅というのは交通手段、どこかに行くために通らなきゃいけないところで、特に駅そのものには用事がないじゃないですか。
でも、そうではなくて、駅そのものも楽しんでもらえるようになるといいなと思って、リニューアルを考えました。駅を楽しむ場所のひとつにしてほしい。実際、歩いてスタジオツアー東京に来られた方が、駅の中をちらっと見て、『何かあるよ』といって中に入ってくれたのを見たんです。そういうこともあるんだなと、うれしく思いました」（五味さん）
豊島園駅は、スタジオツアー東京の最寄り駅。国内外からスタジオツアー東京へのお客がやってくる駅だ。だから、駅からしてスタジオツアー東京への期待感を高めてくれる、非日常の世界。なかなかうまく考えられている……。
