中にはブルーカラーの語源さえ知らない人も……「ブルーカラー」という言葉を、「差別用語」と捉える人たちの勘違いとは?
元トラックドライバーでライターの橋本愛喜さんの新刊『やさぐれトラックドライバーの一本道迷路 現場知らずのルールに振り回され今日も荷物を運びます』より一部を抜粋してお届けする。(全2回の1回目/後編を読む)
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「ブルーカラー」を差別用語だという人へ
自分のブルーカラー時代の経験をもとに記事を書いていると、毎度毎度こういうコメントが必ずやってくる。
「ブルーカラーと人を見下した言い方するヤツにこんな記事を書く資格はない」
「何が現場目線だ、ブルーカラーなんて差別用語使うな」
「今の時代、ブルーカラーとホワイトカラーを区別するのは差別」
ちゃんちゃら意味が分からない。
私は物心ついたころからブルーカラーの現場にいた身だが、「ブルーカラー」という言葉を差別用語だと思ったことが一瞬たりともない。むしろ国内外の経済や社会の根幹を担う業界への、誇り高き勲章のような言葉だとすら思っている。
ブルーカラーの世界で何十年と現場に立ち続けている人たちが醸し出すあの雰囲気は、性別や年齢はもちろん、どんな容姿だろうが、そしてどんな過去を歩んでいようがめちゃくちゃカッコよく見える。
道路や行く先々で真剣な顔して働く彼らの姿を目にするたび、コロナ禍でつけているマスクの内側で毎度頰をでっれーと緩ませている。
なので、こういう中身が空っぽの正義感コメントに触れるたび、「勝手に差別用語にするな」という怒りがふつふつと湧き出てくるのだ。
「ブルーカラーは差別用語だ」と思う各位の話を聞くと、多くの勘違いをしていることに気付く。
ひとつは、「ブルーカラー」を「青い人」だと思っていることだ。
ブルーカラーを差別用語だという人のなかには、ブルーカラーの語源すら分かっていない人が非常に多い。「ブルーカラー」や「ホワイトカラー」の「カラー」は「色(color)」ではなく「襟(collar)」だ。「白い人」「青い人」という意味ではなく、「作業服が青いこと」を意味する言葉なのである。
彼らの勘違いは、普段一般的によく使われているある言葉に引っ張られているからだと感じる。それが、「ホワイト企業&ブラック企業」だ。